ギルがここにやってきて早一ヶ月が経とうとしている。
無理矢理ここに住まわせたと言っても過言じゃないだろうが、アイツも随分この生活に慣れたようで正直ほっした。

最近になって掃除を手伝ってくれるようにはなったけど、その他は全くダメなんだよなぁ…
料理やらせようとしても「玉ねぎってどこまで剥くんだよ?」と言って全部剥いちゃうし、洗濯やらせたら服が真っ赤に染まってしまった。
今まで結構大目にみてたけどそろそろ生活習慣を共有してもらわないと困るよなぁ…


「よし!!ギル、今日は掃除をしておくこと!!あと晩御飯の材料買ってきて!!」

「はぁ?掃除はいいけど買い物なんてしねーぜ」

「やれ。命令。これも生活に慣れる訓練だと思ってさぁ。はいこれ、買い物リスト。お金はこのお財布の中に入れておくからね。おつりでお菓子買ってもいいよ」

「はぁ…?」

「題して、ギルベルトの初めてのおつかい!」

「また変なこと言い出しやがったこいつ!」



―――


ったくなんで俺様が買いものなんてしなきゃなんねーんだ
まぁ掃除はいいぜ?なんてったって俺様は掃除の天才だからなーガハハハ!!
しかし食材の買い物なんてものしたことねーぞ…
今までは任せっきりだったしな。
しょうがねぇ。とりあえずやってみるか


”ギルベルトの初めてのおつかい”


変なタイトル入れんな!!


「えーっと…今晩はハンバーグか…。ひき肉に卵に玉ねぎ…あとみりんにダイエットコーラ、ビールにプリンだな」


とりあえず籠に商品入れていきゃあいいんだよな


「まずはひき肉…。二人分って書いてあるけど何グラムなんだ…?」


200グラム?いや、300ぐらいはあるのか…?
まぁ多めに買うことに越したことはねーだろうし沢山買っとくか。

”ギルベルトは買い物籠にひき肉を5パック入れた”


なんだ、このテロップみたいなの。



「次は玉ねぎか…。ハンバーグに玉ねぎってちょっとしか入ってねぇし一個ぐらいでいいよな」


”ギルベルトは買い物籠に玉ねぎを一個いr”うぜーよお前ぇえええ!!!!


「ったく…。えーっと、次は卵か。って、白いのと茶色い卵どっちにすりゃぁいいんだ!?確かあいつがいつも買ってんのは茶色だったよな…」


ふはは。流石俺!素晴らしい記憶力だぜ!!

次はみりんか…。


「…みりんって何だ?」


みりん、ミリン、見りん?
食材なんだろうけど想像がつかないな…
魚か何かか?
ん〜…


「なんや、妖しい奴がおると思ったらギルやん」

「お!いい所に居たなアントーニョ!!おい、みりんって何だよ」

「お前みりんも知らんのかい!?ほんま世間知らずやな〜」

「うるせぇ。さっさとよこせ」

「それが人にもの頼む態度かいな」

「客は神だろ」

「しゃぁない奴やな〜。もって来たるさかい大人しく待っとり」


ほんとナイスなタイミングで来たなトニーの奴。
流石俺様。運も味方してくれてるぜー!


「はいこれ。みりんやで」

「はぁ?これがみりんかよ。魚じゃねーのか?」

「お前ほんまアホやなぁ」

「んだとコラ」

「俺忙しいねん。これ以上お前に構ってられんわ〜。そんじゃあおつかい頑張りやー」

「おつかいって言うな馬鹿!」


ったくアイツ人の事見下しやがって…。
まぁこれでみりんとやらはクリアだな。
次はー…ダイエットコーラとビールとプリンか」


ダイエットコーラって、あいつ今更カロリー控えようとしてんのかよ。
手遅れ過ぎるぜーアッハッハ!
ビールは俺様の大好きな高いやつにしてやろう。
つかこいつダイエットのくせにプリン買うとか矛盾してねーか?


「よし、コレで全部籠に入ったよな」


なんだよ買い物なんて簡単じゃねーか。
俺様がちゃんと買い物できたって知ったらアイツ驚くだろうな…


〜妄想ターン〜

『ギルすごーい!!ちゃんと買い物できたんだね!!偉いぞギル!!かっこいいぞギル!!』

『これぐらいへでもねーぜ!!』

『いやーん!!男・ら・し・い〜ん☆ご褒美にぃ、ギルの好きな料理なんでも作ってあげるよ〜!!肉ジャガ?ポテトサラダ?それともジャガバター?嬉しいから何でも作っちゃう!』

『よせよ馬鹿…フハハ…』


〜ターンエンド〜



「フハハハハハ!!!」

「お客さん、他の人に迷惑かかるんで高笑いはやめてください」

「あ、すんません…」



―――



「たっだいまー!!今日も疲れた〜」

「おぉ。おかえり」

「ただいまープー。ちゃんと買い物行ってきてくれただろーねぇ?」

「行ってきたぜ。キッチンに置いてあるから見てみろよ!」

「マジかよ!!すごーいちゃんと行けたんだ〜。どれどれー?」


がさがさ


「…」

「どーだ!!」


えっと、なんでひき肉5パックも入ってんの…?
卵ちょっと割れてるし…
しかもこんな高いビール買っちゃって…!!
ああもう何だよコレぇえ!!
やっぱりギルに買い物なんて行かせるんじゃなかった!!


「ちょっとプ、」

「どうだ!?すげーだろ!?」


う…笑顔が…
期待に満ちた顔が、まぶしい…。

まぁ、一応ちゃんと買えたことだし、今日の所は褒めておこうかな。


「凄いじゃんギル!!やれば出来るって信じてたよ〜」

「うわっ!!やめろ髪乱れるだろ!!」

「いい子いい子〜」

「褒美をよこしやがれ!!」

「調子に乗るなよ〜」

「え…」


頭をわしゃわしゃと撫でると嫌そうな顔をされたが、抵抗はされなかった。
今度はちゃんと注意書きを加えた買い物リストを渡そう。
一緒に買い物に行って覚えさせるのも悪くないなぁ


「今日は本田さんとアーサー呼んで皆でハンバーグ食べよっか。じゃないと三食ハンバーグになっちゃうからね」

「ふぁ?」






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