「よーし!!頑張って美味しい料理作るぞ〜!!」


今日の晩ご飯はサディクさんが食べに来てくれるという事でいつもより数倍気合も入っております!!
頑張って作ってサディクさんに「美味しい」って言ってもらおうじゃないか…!!


「早く帰ってきたかと思えばさっそく料理かよ…。っていうかお前あのサディクってオッサンの事…」

「かっこいいよねぇサディクさん…。あの仮面の下の素顔がドストライクなんだよねぇ…。それにあの男らしさときたら!!もう本当にかっこいいよね!」

「いやいやいや、それってただの憧れだよな!?ラブじゃなくてライクだろ!?」

「L・O・V・Eサディクさん!」

「おおおおお!?」


ったくギルは煩いなぁ…。
時間がないんだから早く準備しちゃわないといけないのに。
昨夜夜更かしして考えた献立手で順序良く料理を作って行く。
うん、なんとかサディクさんが来る時間までには間に合いそう!


「ギルー、そろそろサディクさんが来られると思うから準備しておいてね。ゲームもちゃんと片付ける事ー」

「チェっ…めんどくせぇ」

「いいから!!あーもう、そろそろ時間だよー!?ドキドキするなーワクワクするなぁ〜!!」

「けっ!!」


―ピンポーン


き、来たぁあああ!!
うわぁあ、ドキドキするってばぁあああ!!
落ち着け私、深呼吸だよヒッヒッフー!!
お出迎えした時なんて言えば良い?
いらっしゃいませ?お帰りなさいませご主人様?あ、これ違った。
うん、普通にいらっしゃいませで良いよね。
それからとびっきりの笑顔で…!!
よーし、行くぞ…!!


「い、いらっしゃいませー!!」

「よ、よぉ…」

「ってお前かぁああい!!タイミング悪すぎんだよアーサー!!!」

「なっ!?あ、あのサディクとか言う奴を待ってなのかよ…そんな満面の笑み浮かべて出てきやがって…!!グスッ」

「玄関先で泣くな!!あーもう、笑顔浮かべて損した!!」

「お、俺に向ける笑顔はねーってのかよ!?」

「だってアーサーだし」

「うっ、うわぁあああ!!」

「だから人ん家の玄関先で泣かないでよ!?しかも座り込んでるし…!!あーもうこの子は…!!」

「よぉ嬢ちゃん!!立て込んでるとこに来ちまってわりぃねぇ」

「さっ、サディクさん!?うわっ、いらっしゃいませ!!お待ちしてました!!」


うわぁあああ!!もうなんでこのタイミングで…!!
アーサー、恨むよ…!!


「どーしたんでぃこの兄ちゃんは」

「いや、ちょっと…気にしないでください。さぁさぁ、あがってくださいサディクさんっ!!料理できてますからっ!!」

「おう!邪魔すんぜ〜」


ふわあああ!!サディクさんが私の家に居るなんて…!!
本当に夢みたいだなぁ…
アーサーのせいで出鼻を挫かれちゃったけど…。


「適当に座っててくださいね」

「おう。よぉ!!プー太郎のあんちゃんじゃねーか!!元気してたかぃ?」

「んだよオッサン!!馴れ馴れしくすんじゃねーよ!!」

「ギル…?」

「いや、なんでも、ねぇ…」

「アーサーもそんなとこで泣きべそかいてないで座ってよ」

「べ、別に泣いてなんかないんだからな!!こ、これは心の汗だ!!」

「苦しいよ、アーサー…」

「なんでぃなんでぃ、嬢ちゃん家は男だらけじゃねーか!!おめぇさんモテモテじゃねーか」

「ちょっ、やめてくださいよサディクさ〜ん!!これは私のペットと従者ですから」

「俺ペット!?」

「従者…わ、悪くないよな…」

「何満更でもねー顔してんだよお前!?」

「おもしれー兄ちゃんだねぃ。おめぇさんは何てんだい?」

「俺はアーサーだ。名前の隣に住んでる」

「へぇ。まぁ一つ仲良くしてくれや」

「あ、あぁ」

「さぁ、ご飯の用意できましたよーっ!!サディクさん、お口に合うか分かりませんが沢山食べてくださいね…!!」

「嬢ちゃんの作った飯ならどんなもんでも美味しくいただいてやらぁ!」

「さ、サディクさんってば…」


本当にかっこいいなぁサディクさんって…。
なんていうか、お父さんというか…お兄さんと言うか…
とにかくサディクさんみたいな男性ってすっごく憧れちゃうよね。
またあの仮面の下の素顔が見たいなぁ…


「うん、うめぇ!!」

「本当ですか!?良かった〜」

「これなら何時でも嫁に行けるぜ?どうだい、俺んとここねーか?」

「やっ、やだもーサディクさんったら!!本気にしちゃいますよ〜!!」

「ガハハハ!!嬢ちゃんならいつでも大歓迎だぜ!!大工の頭の女房は大変だろうけどよぉ!」

「だけど楽しそうだなぁ…」

「どっこいしょーっと!!ちょっと失礼するぜー!!」

「ちょっ、何ギル…なんでわざわざ私とサディクさんの間に座るの…暑苦しいんですけど」

「あー今日の飯はいつもより美味いぜー!!」

「だよな!!おい名前、この煮物どうやって作ったんだ?」

「それはダシを…って、こらお前ら…私今サディクさんと…」

「おいサディク、ヘラクレスは元気かよ!?」

「あぁん?あんなガキ知るか!!この間も俺がちーとネコ触ったぐらいで殴りかかってきやがって!!ネコ好きなんだから仕方がねーだろうがよぉ!!」


サディクさんネコ好きなんだー…
にしてもさっきから二人にサディクさんとの間を邪魔されてる気がしてならないのですが…。
っていうかお前ら、邪魔してんだろ意図的に。


「サディクさん!!デザートもあるんですけど食べません!?」

「おっ、いいじゃねーか。俺甘い物に目がなくてよぉ」

「本当ですか!?良かったー!!手作りだから自信ないんですけど…」

「嬢ちゃんの作ったもんだったらもったいなくて食えねーなぁ〜」

「サディクさんってばお上手なんだk「あーゲフンゲフンゲフン!!!なんか喉の調子がおかしいぜー!!」

「イソ○ンでうがいするか?」


こいつらぁあああああ!!!
あとでしばく!!あとでフルボッコにしてやる…!!
その後もサディクさんとの楽しい会話を二人に邪魔されながらも、サディクさんと夢のようなひと時を過ごせた私はとっても幸せ一杯だった。
お互い明日も仕事があるからってサディクさんも早く帰る事になっちゃったんだけど…まぁ、また今度休みの日にでもお誘いしてみるのもいいよね。
帰り際の玄関で、私の頭をわしゃわしゃと撫でたサディクさんが「今度は二人で飲みに行こうじゃねーかい。次はあのボディーガードのいねぇ所でな」と言っていつものようにニカッと笑った。
ボディーガードって…あの二人の事かぁー…
「はい!!」と大きく首を縦に振り、玄関の外までサディクさんをお見送りした。
去り際の背中も寅さんみたいでかっこいいなぁー…
あんな男らしい人滅多に居ないよ…!!
上機嫌でリビングに戻ると、少しビクビクと怯えた二人が後片付けをしている所だった。
怯えるなら最初から私の邪魔しなければいいのに…。
まぁ今回は許してやる事にするか。サディクさんが私の作った料理を美味しいって言ってくれただけで幸せだしね!!
次は二人っきりで飲みに…ふふふ、楽しみだなぁ〜!!


「なぁ眉毛…あいつ本気でサディクの事…」

「ばばばば、バカ!!そそそそそんなわけねーだろ!?」

「涙浮かべながら言うんじゃねーよ…」

「いや、これはちがっ…!!」

「ちくしょー…!!」


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