「ギルー、ちょっとでかけてくるねー」

「どこ行くんだよ」

「ちょっとイヴァンに会いにね。せっかくの休みだしたまには二人でのんびりお話でもーって事で」

「げ…あいつかよ。マジでイヴァンには気をつけたほうがいいぜ。害はなさそうだけどなーんか胡散臭いんだよなあいつ」

「そうかなぁ。まぁ夕方には帰ってくるから。いってきまーす」


天気予報によると今日の天気は雨。
透明の傘を手にとって玄関を出れば案の定雨がザーザーと降っていた。
まぁ梅雨だしこんな日もあるよね。
待ち合わせ場所であるイヴァンお勧めのロシア料理のお店に行くと、相変わらず優しい微笑みを浮かべたイヴァンが嬉しそうに手を振っていた。


「お待たせー!」

「大丈夫だよ。雨で濡れなかった?」

「うん、大丈夫」


良かった、とふにふにとした白い頬を吊り上げて笑うイヴァンって本当に癒される。
鞄から程よくラッピングした包み紙を取り出してイヴァンにさしだすと、きょとんとした顔で私との顔を見た。


「ほら、この間イヴァンにマフラー編んであげるって行ってたでしょ?これだったら通気性のいい糸で出来てるし快適だと思うよ!」

「うわぁ、本当に作ってくれたの!?」

「うん!」

「わぁ…。今巻いてみてもいいかな…?」

「もちろん!!」


わくわくと自分の首に巻いているマフラーの上から私のマフラーを巻き、元から巻いているマフラーを抜き取るイヴァン。
…やっぱり人前でマフラーは外さないんだ…。


「わぁ…すっごく良い、これすっごく良いよ名前!!」

「気に入ってもらえて良かった〜。編み物なんて久しぶりだったから美味くできたのか不安だけど…」

「ありがとう名前。すっごく嬉しいよ」

「良かった」


どうやら気に入ってくれたみたいで良かった。
それからはおいしいロシア料理に舌鼓をうち、雨の中傘をひらいてぶらぶらと散歩をしながら会話に熱中した。
始終イヴァンは嬉しそうにマフラーの端をぎゅっと握り締めて時には鼻歌を歌ったりしてとっても楽しそうだったなぁ…

イヴァンと分かれて家に帰る頃にはもう随分日も落ちていて、想っていたより遅くなっちゃったなぁ…


「おせーよ!!」

「あーはいはいごめん」

「てかこれ見ろ!!ピヨちゃんが羽バサバサさせてんだぜ!!」

「うそっ!?すごいじゃんピヨちゃん!!もう少しで飛べるようになるんだね…」


だとしたらもうお空へ帰っちゃうのかぁ…。
少し寂しい気もするけどそれがピヨちゃんの為だもんね。


「ピヨちゃん凄すぎるぜ!!」

「ピィ」

「飛べたら俺の肩乗ってくれよ」

「ピィ」

「ダメだよ、飛べるようになったら自然に帰さないと」

「え…」

「えって、最初からその約束でしょ?怪我が治って飛べるようになったら返してあげるって」

「いや、まぁそうだけど…」

「ちゃんと返してあげようね」

「お、おう…」


寂しそうにピヨちゃんを日の平に乗せたギルベルトは指でピヨちゃんの頭を撫でた。
こんなに仲良しになったのに別れるのは辛いよね。
ギルだっていつも一人でお留守番してるんだし、ピヨちゃんが居てくれて楽しかったんだろうなぁ…
夕飯の時も片時もピヨちゃんを離さなかったギルはずっと塞ぎこんだままだった。
一生の別れじゃあるまいし、って…同じ小鳥に会えるなんてそんな偶然ありえないか…。

明日は月曜だけど昨日休日出勤したぶんお休みなんだよね。
一日ギルとピヨちゃんと一緒に居よう。
雨降ってるしジョギングはお預けだなぁ…
だけどしっかりストレッチはしておかないと。

ギルの奴、元気だしてくれるといいけどなぁ…
明日はうんとギルに構ってあげてピヨちゃんともいっぱい遊ぼう。
ギルが元気ないとこっちまで調子狂っちゃうからなぁ…



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