ちくしょう… 変な時間目が覚めちゃったぜ。 まだ朝の5時かよ…!! 夕べもなかなか寝付けなかったんだよなぁ…。 あいつが近くで寝てると思うと、なんていうか…。 寝息とかたまに漏れる声とかにいちいち反応してなかなか眠れやしねぇ まぁもう慣れてきたけどな!! あーもう、目冴えちゃったじゃねーか…。 ゲームでもするか。確か昨日机の上にPSPを置きっぱなしに…って、なんだこの服。 やたら薄地のひらひらした…ワンピースか。 ひょいと摘み上げてみるとなんとも高そうな素材できている事が分かった。 …またあの眉毛からのプレゼントか…? マジであいつむかつくぜ。そろそろ全身眉毛になって動物園に連れて行かれてもいいと思うぜ、俺は 「ん?」 ワンピースの下になにか挟まってやがる…。 これもなんか高そうなシルクとレース使ってあるな。 両手でひょいと持ち上げると、その物体の招待に開いた口が塞がらなかった。 「え、ちょっ、へ…?」 こ、この形この上下二枚セットなアレは…!! 下着…まさしく女物の下着…!! だけどこれ、色々とギリギリすぎじゃね…?もう隠しきれてねーよ色々、下着って隠す為のもんだろぉぉおおお!? こいつこんな下着つけてんのか…!?もしかしてこれもあの眉毛が…!! あんの変態眉毛マジで殺す!!ぜったいぶっ殺す!! 黒とかありえねーだろどんな趣味してんだよあいつ…!! ん…?待てよ、下着がここにあるという事は… こ、こいつ今何も着てな…!! 「け、ケセセセ!!なわけねーよなぁ〜」 うんうんそれは無いだろ!?俺様考えすぎだぜ!! いつも寝てる時もちゃんとブラつけてるもんなこいつ!! しかもノーブラはあってもノーパンって事はねーだろ、うん、絶対にない。 ったくこんな下着がここにおいてあるから勘違いするんだよな〜!! はは、ハハハハハハハハッハハー… 「……でも…」 もし何も着てなかったら…? いや、さすがにパジャマは着てるだろうけど 肝心なのは中身だぜ? もし何もつけてなかったら…。 ごくりと息を呑んで、ぎこちなく名前の寝ているソファーに近づいた。 普通にタオルケット被って寝てるし分かんねーな… ちょっと退かしてみるか。 「お、起きるなよ…」 あとこれは確認だからな!!もしもって時の為にだぜ? 今日はアイスも居るしもしかしたらとんでもねー事になるやもしれないしな、うん。 確認確認… そっと名前の上に被さっているタオルケットを退かすと、なんとも無防備に幸せそうな寝顔で眠っている姿が現れた。 ちくしょう、こっちはこんな思いしてるっつーのに幸せそうな顔しやがって…。 起こさないようにそっとソファーの端に手をついて名前に覆いかぶさるように膝をついた。 ま、まずは上だよな、上…!! こいつ寝る時ワンピースみたいなパジャマ着てやがるから面倒なんだよな…。 捲るにも下からいかなきゃなんねーし…。 いっその事下から一気に…って、何考えてんだよ俺ぇえええ!! 落ち着け、確認だけなんだから大丈夫だぜ!! 寝相でやや捲れかかっているワンピースの裾をそっと摘み、息を呑む。 「…っ」 やべぇ、心臓バクバクしてきた… 別に俺は下心とかそんな…。 だけど今こいつ目ぇ冷めたらマジでぶっ殺されるよな… それとも真っ赤な顔して泣くか? やべぇ、それは見てみたい。 俺が本気で襲いにかかったらこいつどんな顔すんだろうな…。 殺されるか追い出されるか。 どちらにしろ俺に不利な事ばっかだしなぁ…うーん… 「ギルベルト…。それ、何してるの?」 「ふぇ…?」 「名前のパジャマの裾、掴んで何してるの?」 「あ、アイスぅううう!!」 全身が一気に凍りついた。 やべぇ、見られた…マジでやべぇええええ!!! 「いや、これはアレだぜ!!パジャマの裾が…そう、裾が破れてたからな!!」 「どこ、破れてないよ」 「俺の見間違い!!うん、別に深い意味なんてねーぞ!?それよりお前、なんでこんなに早起きなんだよ!!子供はまだ寝てろよ!!」 「え、意味わかんない」 「いいから寝ろぉおお!!」 「ギル、変」 「うっせー…!!」 ああもう最悪だ…。アイスに見られた… これって名前にバラされたらやばくねー? やばいどころじゃねぇよな、フルボッコにされて三日三晩天日干しにされちゃうぜ…!! 「あ、アイス…この事こいつには黙っとけよ…?」 「なんで」 「なんでって!!勘違いされたら困るだろ!!」 「何を?」 「何をってお前…。ともかく俺の隠し持ってた高いビールやるから黙っとけ!」 「まだ未成年」 「じゃ、じゃあ何だったらいいんだよ!?」 「何も要らないし。黙っておく」 「マジかよ」 「うん」 「お前…!!いい子すぎるぜー!!」 「痛い…」 アイスの髪をわしゃわしゃにしてやると心底嫌そうな顔して押し退けられた。 ちくしょー、名前がやっても怒らねーくせに!! 「安心したら眠くなってきたぜ。アイスもまだ寝とけよ」 「うん」 「んじゃおやすみなー」 「…………ギル」 「んだよ」 「これなに?」 「これってどれ…。って、あ…」 アイスの手に持たれた例のギリギリの下着… 「ちがっ…!!それは最初からそこに…!!」 「…名前、名前起きて」 「違う!!おれじゃねーぞ!?最初からそこにあったんだって!!」 「ん゛ーもう煩いなぁ…」 「名前」 「んー…?どうしたのアイス君…」 「ギルベルトがこれ…」 「これって…。って、ぎゃぁあああ!!ちがっ、これは私のじゃないからね!?ロヴィーノ君がお土産に…!!私の下着はもっと純粋純白ですからぁあああ!!」 ……ロヴィーノって誰だよ!? つかこいつの下着純白か…。ま、まぁ悪くねーぜ!! 「あ、アイス君…今見たものはデンさんに喋っちゃだめだからね?」 「なんで?」 「どうしてもダメなの!!こんなもの持ってるのあの人に知れたらなんて言われるか…!!どうせ”どんな下着着てるか見せろ!!”とかセクハラ通り越した変態発言されるに決まってる…!!」 「それは困るね」 「うん、だから言わないで」 「うん」 よくわかんねーけど丸く収まったみたいだな。 マジで殺されるかと思った… でもマジでロヴィーノってどんな奴なんだよ。 「まだこんな時間じゃん。あと一時間寝られる…」 「っていうかこのワンピースとか、下着とかどうしたんだよ」 「あー、お土産。イタリア土産らしいよ。この選択はどうかと思うけどね。まぁ箪笥の奥にしまって肥やしにでもしておくさ。それじゃあおやすみー」 「着ないのかよ!?」 「着るわけないだろう!?なんなら何、ギルが着てもいいよ!?」 「着るかぁああ!!サイズ合わねーよ!!」 「合ったら着るんだ。そっか、ギルには今までクマさんやウサギちゃん柄のパンツ履かせてたもんね…。もっとお色気むんむんな奴の方が良かったのか…。じゃあ次はピッチピチのもっこり紐パン買ってきてあげるから」 「うおおおい!?お前朝から何言ってんだよ!?」 「うるせー寝起き悪いんだよ私は…。あんまり絡むと殴るぞ」 「チンピラだぜ…」 酷い形相で俺を睨んだ名前はタオルケットを被って再び目を閉じた。 ちくしょー…なんか納得いかねーぜ。 ロヴィーノ、って確かアントーニョの話の中に出てきたような…。 あいつに会った時にても聞いてみるか。 → ←|→ |