「あかんて…あかんてほんまに…。俺名前ちゃんと離れ離れになったら生きて行けへん」

「ちょっ、トニーさん!?大げさだよ!今までの生活に戻るだけでしょー!?」

「せやけど名前ちゃんと一緒に暮らす夢のような生活がこれで終わりなんて嫌やねん…!!いっその事あんなアパート爆破して…」

「トニーさんんんんん!?」


クッションに顔を埋めて「嫌や嫌や」と駄々をこねるトニーさん。
それというのも、トニーさんのアパートの屋根を修理してくれているサディクの方から、あと数日で修理が終わるとの連絡をもらったからの事…
トニーさんがここで一緒に生活しはじめて、私も色々と助けられてたしトニーさんが居なくなるのは寂しいなぁ…
喜んでるのはギルとアーサーぐらいか…


「HAHAHA!!出て行け出て行け!!そして二度と戻ってくんじゃねーぞ貧乏人!!」

「まぁ今まで通りの生活に戻れるしお前も一人暮らしの方が良いだろ?羨ましすぎるぜーケセセセ!」

「ああもう何あいつらかつくぅうう!!むーかーつーくぅううう!!」

「トニーさんをからかうなそこの不憫ズ!!黙れ!!」

「不憫ズってなんだよ!!俺は不憫じゃないからな!!俺は紳士だぞ馬鹿ぁ!」

「はいはいエロ紳士ね。いいからお前らは黙ってろ」

「亭主関白って奴だぜ。おっかねー!」

「…吊るすぞ?」

「すみません黙ります」


二人をおもいっきり睨みつける。
って、なんで頬を赤く染めてるんだアーサー…


「ねぇトニーさん、別に会えなくなるわけじゃないんだしさぁ…。それにここには来たい時に来て良いんだから!!また一緒にご飯食べたりすればいいじゃん。ね?」

「名前ちゃん…」

「私もトニーさんには色々お世話になってたから名残惜しいんだよ?トニーさんの作るご飯すっごく美味しいし、家事も手伝ってくれるから大助かりだったもんね」

「俺も…仕事から帰って、お帰りって言ってくれる人がおるってめっちゃ幸せやってん…」

「トニーさんっ…!!」

「名前ちゃんっ…!!」

「ストォオオップ!!なんだよこの空気!!ストップストップ!!」

「カリエドォ…ちょっと面貸せ」

「アーサァアア!?顔怖い!!その顔怖いよアーサー!!」

「何すんねんお前ら!!俺と名前ちゃんのラブシーン邪魔すんなや!」

「何がラブシーンだよお前らのはギャグだろギャグ!!吉本入っとけエセ関西人!!」


三人で頬をつねったり足蹴りしたり首をしめたりって…中学生男子かこいつらは…!!
ったくもー…


「あー肩こった足痛いー…」

「なに、名前ちゃんお疲れなん?俺がマッサージしたろか?」

「何考えてんだよカリエド!!お前マジで死ね!!しーねー!!」

「喧嘩しないでよ頭痛いなぁ…」

「えっ…あ、悪い…」


あ。アーサーがしゅんとした。
ちょっと言い過ぎただろうか


「アーサーってマッサージ上手だったよね?私アーサーにやってもらいたいなぁーなんて…」

「やる!!はは、ははは!!まぁお前がそこまで言うならやってやるぜ!!俺の手先は器用だからなっ!!」

「うわーなんやの、お前のはやらしい手やで。名前ちゃんの体に触るなや。眉毛の呪いがかかったらどないすんねん」

「っていうかもう帰れよお前。お前と同じ空気吸ったら眉毛がうつるんだよ」

「そうやそうや!!この眉毛菌!!」

「えんがちょー!!ケセセセ!!」

「…二人ともいい加減にしないと怒るよ…?」

「じょ、冗談やでー名前ちゃん。ふふふ、ギルーちょっとあっちで一緒にあやとりでもしよかー」

「おおお俺様東京タワー作れるぜ!」


ったくあの馬鹿コンビは…。


「お、おい…肩揉めばいいのか?」

「あ、うん。ごめんね、なんか命令したみたいで」

「いや、いい。お前もいつもあんなの相手にして疲れてるだろうしたまにはな」

「いつもすまないねぇーアーサーどん」

「どんってなんだよ!?」

「あーそこもうちょっと強く揉んでー」

「つ、強く揉め…!?」

「おーい今厭らしい妄想しなかったかー。揉むのは肩ですよ、肩」

「だだだ、誰がお前の…!!それぐらい分かってるよ馬鹿ぁ!」

「両手が肩から前進してる気がしたのは気のせいかー。そうかそうか」

「くそっ…!!次足!!足もやんだろ!!」

「えーまだ肩凝ってるのにー」

「ったくお前は俺が居ないとどうしようもないんだからな!!」

「うわー何それ。アーサーだって私が居ないと酔っ払ったときに介抱してくれる人いないくせに。アーサーが死ぬほど仕事が忙しい時期に夜食作ってあげてたのは誰だったかなー。あーあーあの恩も忘れちゃったのかなーアーサー君は〜」

「うっ…!!ちくしょー…!!言い返せねぇ…」

「せいぜいこれからも私の世話を焼いてればいいのさ!!あーそこそこ。もうちょっと強くねー」

「はいはい畏まりましたよお嬢様…!!」


ふふふ、なんだかんだ言ってお互い頼りにし合ってるもんね。
本当にアーサーがお隣さんで良かったなぁ



「うわー、なんやのあの雰囲気。ほんまカークランド腹立つわぁ。あーもう頭にキノコ生えろ。それも有毒な奴」

「何でキノコなんだよ!?ちくしょー…隣人だからって調子乗りやがって…」

「それだったらこっちは同居人やで?やっぱり俺らは出会ってからそう年月もたってないからなぁ…。付き合い長い分あいつの方が勝ってるって事やろか〜。いや、そんな事は…男と女の間に長いも短いもないよなぁ…ギルはどう思う?」

「…さぁな。別に俺はあんな奴の事どうでもいいし!?」

「冷たい奴やなぁ〜ギルちゃんは。俺は本気やさかい引くつもりは無いで。もちろんここに居られんようになってもこれからもしょっちゅう遊びに来るで。親分の意地や!」

「来るなよ鬱陶しい!!あーもうこれ以上俺を悩ませるなよ!!」

「なんやギル、悩み事でもあんのか?しゃないなぁ〜親分が聞いたるさかい話でみ〜」

「言うか!!お前には絶対言わなねえ!!」

「えー冷たいやんギルベルト!!親友やろ?友達やろ〜?」

「都合のいい時だけ友達面すんなよ!!ったく…」


ん…?なんかギルとトニーさんも仲良くやってるみたいだなぁ。
友達だもんね。
うん、やっぱり友達って良いもんだなぁ。
お互いに助け合って励まし合って、辛いことがあったら慰め合ったり。
ギルが来てからと言うものの、友達の輪がどんどん広がって今では皆大切な友達だもんね。
アーサーも本田さんもトニーさんもフランシスさんも、アルフレッドくんもマシューくんもイヴァンもエリザやローデリヒさんも。もちろんスーさんやティノ君やデンさんノルさんも、みーんな私の大切な人たちだ。
沢山の素晴らしい人達に出会えて私って本当に幸せ者だなぁ。
それに、ギルがこの家に来てくれて本当に良かったって、心からそう思うよ。


「なんだよ、さっきっからによによして」

「んー?私って幸せ者だなぁと思ってね」

「ばぁーか。ほら、次左足」

「んー」

「ったく…お前が幸せ者だったら俺はもっと幸せ者じゃねーか…」

「え、私の足が揉めて幸せだって?」

「誰がそう言った耳腐ってんだろお前」

「嘘嘘。アーサーも幸せ者かぁー。でもなんで?」

「そ、そりゃあアレだよ……。お、お前がその、えーっと…ああ!!なんでもねーよ!!」

「変な眉毛」

「眉毛!?そこは変なアーサーって言うところだろ!!」

「あ、ごめん間違えた」

「おーまーえーなぁあああ!!」

「あー痛い痛い!!ごめっごめんなさいアーサー様ぁあああ!!」

「お前なんかこうしてやる!!」

「足ぞうきん絞りすんのやめてぇええ!!」

「あー!!何してんねんカークランド!!名前ちゃん苛めなや!!」

「くらえピヨちゃんアタック!!」

「ピィ!!」

「いてっ!!って、ピヨちゃんかよ!!怪我してる動物使うなんて卑怯だろ!!」

「大丈夫だ、見ろよこのやる気の目!ピヨちゃんは殺る気だぜ!」

「ピィ!!」

「ピヨちゃん何者だよ!!」

「名前ちゃん大丈夫か!?トマトの王子が助けに来たで〜!」

「トマトの王子!?トマトの国の王子!?」

「じゃあ俺様はじゃが芋の国の王子だ!!」

「じゃあ俺だって紅茶の国の王子だぜ。紅茶王j「だああああ煩いお前らぁあああ!!」


ああもう前言撤回!!
こいつらもっと静かにならないと幸せの前に私の体がもたないよ…!!
だけど喧嘩をするほど仲が良いというやつか…
まぁこの三人が仲良くしてるとこなんて想像できないというか…気持ち悪い…
これはこれで奴らのあり方というものなのか…
すっごく迷惑だけど…まぁ皆大好きだから、それでいっか


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