「兄さんを出しなさいヒモ男」

「いや、兄さん居ねえし…」

「しらをきるつもりね…分かっているのよ!兄さんがここに居るって事は!」

「だから居ねーって!」


玄関のドアを閉めようとすると隙間に足を挟んで力一杯ドアを開かれる。
っていうか誰だっけ、この女
そうだ…確かイヴァンの妹の…!!


「中に入れなさい芋男!!」

「ヒィイイイ!!!やめろ!!不法侵入だ不法進入ぅうう!!マジでイヴァンなんて知らねーってぇええ!!」

「あのメスブタが兄さんにしつこく付きまとっている事を知ってるのよ!!!さぁ兄さん出てきて!!そして私と一緒になりましょう!!兄さんと合体合体合体合体合体」

「ぎゃぁあああ!!だ、誰か助けてぇえええ!!!」

「こんにちはギルベルトさん、スーパーで一足早いスイカを買って…って、何やっているんですかギルベルトさん!!!こんな美女を部屋の中に連れ込もうとして…!!」

「本田ぁああ!!どこが連れ込もうとしてるように見えんだよ!?どう見たってこいつが無理矢理進入してこようとしてるようにしか見えねーよ!」

「名前さんという物がありながら…!!浮気ですか!!そんな事私が許しませよ!!」

「だからちげーっての!!」

「兄さんと結婚結婚結婚結婚結婚結婚…」

「結婚…!?ギルベルトさん、貴方と言う人はぁあああ!!」

「ちがっ、ちょっ何振り回して…!!ぶぎゃぁああ!!」


スイカの入ったスーパーの袋が俺の脳天に振り下ろされた。
もう嫌だ、なんで俺だけこんな目に…!!



「と、ともかく落ち着こうぜ…茶でも淹れるから、な!?」

「紅茶ストレートでミルク一つ…」

「あ、私はほうじ茶でお願いします」

「遠慮ねーなお前ら…」


ひびの入ったスイカを本田から受け取りキッチンで紅茶とほうじちゃを淹れる準備をする。
ったく、今日はとんだ厄日だぜ…
なんだってイヴァンの妹なんかがここに来るんだよ!
ともかくさっさと追い帰すに越したことはねーぜ。


「ほらよ。さっさと飲んで帰れよ」

「こらこらギルベルトさん。そんな言い方は良くありませんよ」

「だってイヴァン居ねーんだし用もねーだろ。それともまだイヴァンを匿ってるとか勘違いしてんのか?」

「そうね、ここには兄さんは居ないみたい」

「やっと分かったか…」

「ええ。この部屋から兄さんの匂いがしないもの。兄さんったら照れ屋だからきっと遠くに逃げたのね。あぁなんて可愛い人なの!」

「俗に言うヤンデレですねぇ。これはまた素敵なキャラの登場。良いネタになりそうです」

「そろそろワイドショーが始まるわ。テレビをつけなさい芋男」

「居座る気かよ!!ああもうさっさと帰れお前ーっ!!!」

「黙りなさい。こうなったらあの阿婆擦れ女が帰ってくるまで待っててやるわ。二度と兄さんに近づかないよう注意してやらないと」

「いや、マジで帰れ!!」

「夕飯は何かしら。オムライスにしなさい。オムライスが食べたいわ」

「夕飯も食ってくつもりかよ!?」

「まぁまぁギルベルトさん、良いではありませんか」


良くねーだろぉおお!!
こんな女が居たらゆっくりくつろげねぇどころか名前が帰ってきた時変に勘違いされたらどうすんだ…!!!


「ただいまー」

「お帰りなさいアントーニョさん」

「あー、菊来てたんかぁー…って、誰この女の子!?」

「彼女はイヴァンさんの妹さんで…えーっと、失礼ですがお名前は…」

「名前なんて教える筋合いは無いわ。私の名前を呼んで良いのは兄さんだけよ」

「へぇーイヴァンの妹なんやー。別嬪さんやなぁ〜。あ、お菓子買ってきたんやけど食べるかー?」

「えぇ。ついでに紅茶のおかわりを淹れなさい」

「待っててなー今淹れてくるさかい」

「ってトニー!!甘やかせんな!!」

「ええやんかぁーこんな可愛い子〜。妹ちゃん歳いくつなん?」

「19」

「若いなぁ〜。もう少ししたら名前ちゃん帰ってくるさかい待っててやー」

「えぇ」


トニーの野郎…!!
もう良い、気にするだけ無駄だ。なんてったって相手はイヴァンの妹だぜ?
本気で相手にしてたら何されるかわかんねーし…


「名前ちゃん遅いなぁ…」

「どうせまたエリザんとこで長話でもしてんだろ」

「ふふふ。女性はお喋りがお好きですからねぇ」


―ピンポーン


「おや、どなたか来られたようですね」

「どうせ眉毛だろ眉毛」

「ほんまあいつうざいわぁ。顔合わせるだけで吐き気がすんで」

「仲間外れはいけませんよ」

「いや、マジであいつのしつこさはストーカー並だぜ?」

「だぁれがストーカーだとこのプー太郎」

「うわっ!!勝手に入ってくんなよお前!!」

「誰も出て来なかったからしょうがないだろ!!っていうか俺はストーカーとかそんなんじゃないんだからな…。ただ純粋に近くから見守ってるだけだ」

「ストーカーより性質悪いだろ!!」

「それよりあの女は…」

「イヴァンの妹」

「そ、そうか…。お前にもやっとそういう相手ができたんだな。だけど名前の居ない間に家に連れ込むのはどうかと思うぜ?やるならもっと誰も居ない静かな場所で…」

「なに考えてんだよお前ぇええ!!」

「彼女は名前さんの帰りを待たれているだけですよ、アーサーさん」

「ほんまこいつ気持ち悪いわぁ〜」

「んだと…!!!」


口喧嘩を始めるトニーと眉毛とから距離を置いて大きくため息をつく。
なんだって俺様がこんな目に…!!!
さっさと帰って来いよあのペチャパイ女!!





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