「違いますよギルベルトさん。こっちがルミちゃんでこっちがミルちゃんです」

「え…?全然見分けがつかねーんだけど…」

「双子戦士ルミミル。この赤い髪の方がルミちゃんで青い方がミルちゃんです」

「あぁ。成る程な」

「ただいまー。…って何やってんのコレェエエ!?」

「お帰りなさい名前さん。お邪魔していますよ」

「お前も見ろよ!!結構おもしろいぜコレ」

「あ、双子戦士!!私が小さい時やってたよコレ」

「こちらはリメイクバージョンです」

「懐かしい〜。って、そんな場合じゃないよ、なにこの部屋の散らかりようは!!漫画が束になって積み重なってるんですけど!?」

「ギルベルトさんがジャンプを読みたいとおっしゃるので去年の分を持ってこさせていただきました。あちらの分はサンデーです」

「俺はサンデーの方が好きだぜ」

「私はどれも捨てがたいですが好きな漫画が多いのはガンガンでしょうか。ああ、コンプティークも捨てがたいですね」

「ちょっと本田さん。ギルをオタク化させようとしないでくださいよー」

「なんでダメなんだよ」

「オタクはお金がかかるんだよ」

「ごもっともです。名前さんよく知ってらっしゃいますね。もしかして知り合いにオタクの方がおられるんですか?」

「高校時代周りの友達は皆男同士の絡みにハァハァやってた」

「それはそれは…」

「なんの話だよ」

「知らなくてもいいのギルは」

「チェッ…俺だけ仲間はずれかよ…」

「拗ねないの。そうだ本田さん、晩御飯食べていきますか?」

「そうですね…ご迷惑でなければ」

「全然いいですよ。あ、そうだ。もう一人お客さんが来ますけど大丈夫ですか?」

「構いませんが…どなたですか?」

「ただの隣人です」

「隣人、と言うと例の…」

「ツンデレ眉毛です」


本田さんの目がお仕事モードになった。


「…夕飯、おでんでいいですか?」

「ええ。名前さんの作る料理ならなんでも美味しくいただきますよ」

「それは買い被りすぎだぜ本田」

「ギルベルトさん。女性は褒めて伸ばすものなのですよ」

「聞こえてんぞゴルァ」


本田さんってこんな人だっけ…。
なんか最近変わった、というか化けの皮がはがれてきた気がする


ピンポーン


「あ、アーサーだ。はいはい今行きまーす」

「アーサー?」

「隣人だよ」

「あぁ」

「おい本田。こいつ何なんだ?」

「敵の悪将軍です。悪い子エナジーパワーを人の心に植えつけるあくどい輩ですよ」

「そいつぁ相当な悪人だぜ」


もうテメェら自重しとけよ。


「いらっしゃいアーサー」

「おぉ。今日いいワイン貰ったんだけど、飲むか?」

「飲む飲むー。流石眉毛、気が利くね」

「眉毛関係ねぇ!!夕飯のメニューは?」

「おでん」

「ワインに全然あわねぇじゃねーかぁああ!!!」

「飲めるもんならなんだっていいんだよ」

「アバウトだなお前…」


しかし高そうなワインだな…
貰ったって言ってたけど、ちゃんと綺麗にラッピングしてあるし。
さては女からのプレゼントだな…
それを隣人の家に持ってくるなんて罪深い男だね〜


「よぉー。眉毛野郎。また変な食いもん持って来てねーだろうな」

「今日のはいいワインだがお前にはやらねーよ。俺の作った料理吐きだしやがって…」

「お前俺を殺す気かよ!?あんな兵器喉を通したら死ぬぜ普通の人間は!!」

「お前遠まわしに俺が普通の人間じゃないって言ってんのか!?」

「まぁ普通の眉毛じゃないよね」

「お前もか…!!!」


これ以上言うと半泣きになってしまいそうなので止めておこう


「えーっと…始めまして」

「ん…?え、あぁ。始めまして…?」

「あ、忘れてた。本田さん、こちらお隣に住んでるアーサー・カークランドです。例の眉毛」

「あぁ…!!」

「あぁってなんだよ!?例の眉毛って何だ!?」

「眉毛は眉毛だよ。アーサー、こちら近所に住んでるお友達の本田菊さん」

「よろしくお願いします、カークランドさん?」

「いや、アーサーでいいよ」

「分かりました、カークランドさん」

「え…」

「本田さん…アーサーはガラスの心の持ち主なんですからからかわないでください」

「アハハ。すみません。よろしくお願いします、アーサーさん」

「あ…あぁ、よろしく」


本田さん…


「おい本田。なんかスゲェの出てきたぜ」

「ああ、四天王ですね」

「何だよコレ、アニメか?」

「ええ。アーサーさんは漫画などを読まれないんですか?」

「そうだな…。アニメ映画なんかはたまに見るけど漫画はあんまり見た事が無いな」

「お前はエロ本専門だもんな」

「うるせぇ甲斐性なし」

「おやおや…それそはれは」

「ん?何書いてんだ、本田」

「いえ、なんでもありませんよ」

「ご飯できたよー。鍋持って行くからその漫画避けといて〜」

「俺が鍋持つからお前は食器運んで来いよ」

「お、悪いね」

「ん」


なにやら本田さんがハァハァと息を荒らしながら写真を取り始めた。
どこから出したんですか、その一眼レフ…


「いいです!!いいですよ二人とも!!その慣れ合った雰囲気が堪りません!!」

「気にしないでねアーサー。ああなった本田さんは誰にも止められないから」

「あ、あぁ…」

「ハァハァハァ」


今までの本田さんのイメージが音を立てて崩れていった。



「もご…。うわぁ。すっごくおいしいですね、このおでん」

「そうですか?良かった〜」

「名前さんってお料理お上手ですよねぇ。なんというか、お袋の味?」

「そんなに極めてませんよ」

「俺はもう食い飽きたぜ。もっと豪勢なもん食わせろよ!」

「名前、そろそろこいつ追い出したらどうだ」

「うん。私も今すっごくその衝動に駆られた」


ほんとむかつくなぁ。
腹が立ったのでギルの皿にダシの抜けた昆布ばかり入れてやるとちょっと涙目になっていた


「あ。アーサーアーサー。ワイン頂戴」

「ん」

「本田さんも飲みますよね?」

「ええ、是非」

「アーサーは?」

「飲む」

「じゃあグラス持ってくるね」

「俺には聞かないのかよ」

「お前はのたれ死んでろ」


寝転がってしくしく言い出だしたギル。
また本田さんがハァハァと息を荒らしながら写真撮った




「ん、おいしいーこの赤ワイン」

「これはまた…結構お高いワインじゃないですか、これ」

「こんないいもの貰って良かったのか…。ちゃんとお返ししねーとな」

「誰に貰ったの?」

「あー。部下の女性…」

「ほうほう隅に置けない野郎だね〜」

「アーサーさんモテそうですもんねぇ」

「外では紳士ぶってるもんね。騙された女の子は可哀想だわ〜」

「紳士ぶってるんじゃなくて紳士なんだよ!!ったく…人の気も知らないで…」

「アーサーの気持ちはよく分かってるよ。頭の中は中二の夏のままだもんね」

「おや、よりによって中二ですか…グッジョブ!!」

「中二じゃねぇ!!お前こそ鈍感でマヌケじゃねーか!!」

「バーロー誰が鈍感だって?違いますよね本田さん?」

「否定はできませんね」

「え、ちょっなんですかそれ」

「私にとっては美味しい設定なのでこれからもそのままでいて下さいね、名前さん」

「わけ分かんないです、本田さん」

「グッジョブ名前さん!!」

「ほんと以前の清楚キャラは何処に行ったんだよアンタ」



その後、アーサーが悪酔いしないうちにさっさとお開きにし、残りのおでんをタッパーに詰めて本田さんに渡した
「お母さんみたいですねぇ名前さん。ママキャラテラモエ!!」と言われたのでさっさと追い出した。

存在を忘れたギルは何故かトイレで泣いている所を発見された。

なんて不憫な奴なんだ







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