「うぉおおー!!なんだコレ、なんだよコレ足パンパンなんですけどぉおお!!浮腫んでるよコレ!!」

「朝からうるせーな…。お前が足太いのは元からだろ」

「んだとこのプー太郎…。あーあー…。昨日ハッスルしすぎたからかな…」


一週間の始まりである月曜日。
昨日はアーサーの弟であるアルフレッド君と映画に行く約束をしていたので、朝から彼と行動を共にしていた。

映画を見てアイスやらクレープやら、ついでにハンバーガーなどを食べ歩きした。
その後アルフレッド君がレーシングゲームがしたいとねだっていたのでゲーセンにも行った。
「俺のドライブテクニックを見ててくれ!」と言ってガードレールにぶつかりまくるを見て、彼の運転する車には絶対に乗らないでおこうと心に決めた。

途中、血眼で美少女フィギュアのUFOキャッチャーにへばりついている本田さんを見かけた気がするけど、見なかったことにする

そんなこんなで夜遅くまで遊んでいた私は家に帰るとベッドに倒れこんだのであった


「やっぱり若い子と同じように遊ぶのは無理があったかな…」

「若い子って…お前友達と遊ぶとか言ってなかったか?」

「友達だよ。18才で歳は若いけど」

「お前いくらモテないからってそんな年下に手ぇ出さなくてもいいだろ…」

「ちげーよ。何でそういう風に取るかな。中二病かアンタは」


歩きつかれて浮腫んでしまった足でギルベルトの弁慶の泣き所を思いっきり蹴ってやった
床で転がり回って痛がっているあたりが鬱陶しい



――――



「はぁ〜〜…」

「あれ、名前さんどうしたんです?大きなため息ついちゃって」

「それがねーティノ君。昨日歳の若い友達と遊んでてさー。足パンパンに浮腫んじゃったよ。これって体が衰えてる証拠かなー…」

「普段デスクワークばかりですからねぇ…。体作りにジムにでも通ってみたらどうですか?」

「ジムかー…。でも家で待ってる奴が居るし無理だなー」

「ウサギでしたっけ。やっぱり可愛いですか?僕のとこの花たまごもすっごく可愛いんですよ〜。この間スーさんが昼寝しているすぐ傍で一緒に寝てたんですよ!すっごく可愛いですよー!」


少し興奮気味に話すティノ君。
よっぽど可愛いんだろうな、花たまごちゃんが


「名前。」

「ん?何スーさん」

「これ上司んどこ持ってっでくれ」

「デンさんのとこか。いいけど何で自分で行かないの?」

「あれどはあんべわり」

「あんべ…?あぁ、仲が悪いって事か。そういえばティノ君も苦手だったよね、あの人の事」

「えっと…まぁ…」

「わりぃな」

「んじゃ今から行ってくるね」

「ん」

「お気をつけてー!!」


何に気をつけろって言うんだ、ティノ君




「失礼します」

「おぉ、名前じゃねーが!!何か用でもあんのげ〜?」

「デンさん、これ書類届けに来ました」

「んぁ。後で目ぇ通しとぐ」

「お願いしますねー。それじゃあ失礼しま…」


ぐいっ


「…なんすか…」

「まぁぢょごっと待て。オメェ彼氏はおらんげ?」

「居ませんよ」

「んなら好都合だっぺ。俺んどご来い」

「は?」

「今から俺がお前の恋人だっぺ」

「はぁあああああ!?」


急に何言い出すんだこの上司ぃいいい!!!


「どこかに頭ぶつけましたか!?」

「んーや」

「じゃあ何で!?」

「しつけぇ女がおんだよ〜。んでお前と付き合ってるとご見せりゃあ俺ん事諦めるだろーと思ったんだべさ」

「おモテになるのはよく分かりますけどね、他を当たってください」

「めんどくせぇ」

「めんどくせぇのはこっちだって」

「んじゃ上司命令」

「権力使いやがったぁああああーー!!!」


こんの上司ぃいいい!!!
職権乱用しやがって!!クビになれ!!滅びろこの野郎!!


「ともかく嫌です。ノルさんを女装させるなりなんなりしてください。なんならティノ君でもいいと思います」

「おまっ、気持ちわりぃ事言うんでねぇ!!」

「はいそうですか。それじゃあ私はこれで失礼します」

「…どーしでもダメ?」

「ダメ」


まったくこの上司は…



「ただいま戻りましたー…」

「お疲れ様です名前さん!!どうでした…?」

「どうでしたって…。なんなのあの人、なんかすっごい疲れた…」

「なんがされでねぇか?」

「何も。ただ職権乱用しやがったからキッパリ断ってやったよ」

「職権乱用…?」

「なんかスーさんがあの人苦手な気持ちが分かったよ…」

「そか…」


―――


「あぁもうダメ!!足痛いし今日は余分に疲れが溜まった〜」

「ちゃんと飯作れよな」

「なんだよ偉そうに…。たまには自分でやってやろうって気はないのかいキミは」

「ないぜ」

「うわ、即答。むかつく」


ピンポーン


「ん…?誰だろ。プー行ってこい」

「プーって呼ぶな!!ったくめんどくせぇ…」

「いいから。ダッシュ」

「へぇへぇ」


ほんと憎々しい奴だな…
さて、来客はギルに任せといてご飯でも作ろうかな


「おい。お客さんだぜ」

「よぉ…」

「あれ、アーサー。どうしたの?」

「いや…一緒に晩御飯でもどうかと思って。たまたまなんだからな!!沢山作りすぎたからお前らも一緒にどうかと思って…」


もじもじしながら手に持っている鍋を差し出すアーサー…


「わわわわ、私お腹すいてないからいいや…」

「え…?」

「今日疲れててさ!!ほら昨日アルフレッド君と遊んだんだけど疲れが溜まっちゃって食欲ないんだ〜アッハッハッハ!!!」

「だ、大丈夫かお前…?」

「大丈夫大丈夫!!睡眠とれば大丈夫だからぁああああ!!」

「そ、そうか…」

「俺は食うぜ。こいつの飯にも飽き飽きしてたからな」

「そうか」

「んじゃ私はお風呂にでも入ってくるね…」

「分かった」

「早く食わせろ。すげー腹減ったぜ」

「いま入れてやるから待ってろ」

「お前の料理がどんなもんか楽しみだぜー!」


数分後、ギルベルトの苦しむ悲鳴がマンション中に響き渡った。
証言によると、その声は近所に住む漫画家のHさんの家まで届いていたらしい。


成仏しろよ、ギルベルト。








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