2月も今日で終わりだ。
そういえばギルベルトを拾ってからもう二週間になるのかー
この生活に慣れてくれたのはいいけどダラダラとしている姿がよく目立つ
あれじゃあまるでニートだ。

よし、今日は帰ったら洗濯を覚えさせよう。
ご褒美の為にこの間のカフェのコーヒーをまた買って帰ってやろうかな
お気に召したらしく、あいつが一日に何杯も飲み続けるのでもう残り少ない。
あいつ贅沢な使い方するからすぐに減っちゃうんだよなぁ〜


カランカラン


「いらっしゃいませ。あら」

「あ、こんにちは〜!!」

「また来てくださったんですね。ありがとうございます」


前に来た時と同じ綺麗な笑顔で店員さんが笑った

うん。相変わらずの美人っぷりだ


「ピアノの演奏、聞けますか?」

「ええ。あと15分もすれば始まるのでゆっくりして行ってくださいね」


辺りを見回せば前回来た時よりもお客さんが多かった。
それにしても、女性客が多い気がする…のは気のせいだろうか


「あ、始まりますよ!」


店員さんの声が弾む。

店内に設置されたピアノに眼鏡をかけた、前回と同じピアニストの人が座った

静かにピアノの音色が店内に響き渡って、まるでコンサート会場のようだ


「綺麗な音」

「あの方自身が音楽に表れてとっても素敵なんですよね…。優しくて、優雅で気品があって。それで居てどこか悲しそう…」

「店員さんよくあの人のこと見てますね。よっぽど好きなんだな〜あの人のこと」

「えっ…!?」


顔を真っ赤にさせた彼女はあたふたと「どっどうしてそれを…!?」と小さく呟いた
恋する乙女は可憐だ。


―――


「それでさー。その店員さんったら顔真っ赤にさせちゃってすっごく可愛くて可愛くて。あんな顔されたらどんな男でも落ちるね〜」

「そんなに美人なのか?」

「あれは一級品だよアーサー君。足は長いし性格はいいし。おまけにすっごい胸でかいんだって」

「ぶぐっ…!!げほっ!!おっ…お前!!女がそういうこと言ってんじゃねーよ!!」

「何それ中ニ病?汚いからパスタ吹くなよな」


顔を真っ赤にさせて咽るアーサー。
ったく、相変わらず初心と言うか純粋と言うか…

背中をさすって水を渡すと、更に頬を染めて「悪い…」と消え入りそうな声で呟いた



「乳の話ぐれーでだらしない野郎だぜ」

「お前はもう少し自重しろな」





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