「フランシスー俺紅茶のおかわりな〜」 「はいよ〜。フィナンシェもいっちゃう?」 「いっちゃう〜!」 「なんでお前ら人の家でくつろいでんだよ!」 「何言ってんねんここ名前ちゃん家やろ!すっかりすっかり夫婦気分かお前ぇぇええ!!調子にのんなよ三枚目のくせに!!」 「三枚目はテメェだろ!!オレはどっからどう見たって二枚目キャラだぜ!」 「それを言うならお兄さんでしょ」 「もう三バカトリオで良いではないですか。あ、フランスさん。私にもおかわりをよろしくお願いいたします」 こんにちは、本田菊です。 今日はいつもの事ながら名前さんのマンションにお邪魔している次第です。 アントーニョさんやフランシスさんも加わり、名前さんが帰ってこられるまでのティータイムとなりました。 ギルベルトさんはフランシスさんとアントーニョさんが名前さんの自宅でくつろぐ事が気に入らないようですね… いやはや、分かりやすい方で私も嬉しいです 「ところでギルベルト、お前名前ちゃんとどこまでいってんの?」 「ぶっ」 「ちょっかかった!お兄さんの素敵フェイスに紅茶かかったじゃん!」 「お、お前が変な事言うからだろーが!!」 「そうやでフランシス。ふざけた事言うてたらほんまに許さんよ…?」 「す、すみません…」 ナイスですアントーニョさぁぁん!天然とみせかけた腹黒キャラ!! 良いです、ちゃんてツボをついていますよ! 「でもさ、毎日一緒に男と女が暮らしてるわけだし少しぐらいはそういう雰囲気になったりしないの?」 「ねーよ。あんな色気のかけらもねぇ女」 「そうですかねぇ?私にとっては充分色気を感じるのですが…。お風呂上がりにソファーなどで無防備に寝転んでいる姿は鼻血ものですね。おっと、想像しただけで込み上げる物が…」 「えぇー何それめっちゃええやん!菊…それって写真とか…」 「一枚1000円の所を特別に800円でお譲りいたしましょう!!」 「うひゃぁあ!!ちょっ、ぼはっ!!何それぇええええ!!めっちゃええやんかぁああ!!」 「今ならお昼寝名前ちゃん秘蔵写真もおつけいたしますよ!!」 「三枚買うから1000円にして!!」 「良いですよ。流石アントーニョさん、商売上手ですね」 「てゆーか3枚も何に使うのトニー…」 「観賞用保存用実用用や」 「実用用って何!?」 「そっちで使っちゃうんですよね、分かります」 「分かっちゃうんだ菊…。まぁいいや、お兄さんにも一枚ちょうだーい」 「わかりました」 いやぁ、こんな時の為に写真を持ち歩いていて良かったですね。 それにしても先ほどからギルベルトさんがそわそわされているようですが… 「あ、ギルベルトさんも一枚いかがですか?」 「へ!?あ、えっと…。い、いらねーよそんなもん!!俺見慣れてるし!?それにそんなの持ってても魔よけぐらいにしかならないぜー!」 「魔よけって…。お前なぁ」 「神やん。名前ちゃんの寝顔なんか天使みたいやでーこれ」 「いや、それはちょっと言いすぎ」 「ええんや。俺だけの天使さんやから」 「グッジョブですアントーニョさん!!貴方とは是非色々と語り明かしたい物です!!」 「ええなぁ〜!今度の土曜とかどう?」 「おいおい、意気投合しちゃってるよこの人たち…。で、ギルは本当に写真いらないのか?」 「いらねーよ!!」 「素直じゃありませんね…」 まったく…以前私が注意してさすあげた事、理解できておられませんね…。 仕方なく机の下にから手を伸ばし、他のお二人には気づかれぬよう写真をギルベルトさんのひざ元に乗せると真っ赤な顔をしてポケットにしまっておられました。 ぶふっ!!萌え…っ!!! 「そういやあのアホ眉毛はまだご飯食べに来たりしてるん?」 「あぁ、だいたい毎日来てるけど仕事が遅くなった日はこねーな」 「ったく、なんやねんあいつは〜!名前ちゃんに晩ご飯食べさせてもらうなんてめっちゃ羨ましいわ!」 「あ、私もよくお邪魔させていただいているのですが…」 「菊はええやん。名前ちゃんの保護者みたいなもんやし」 「てゆーか菊はそこんとこどうなのよ。お兄さんずっと気になってたんだけど」 「そこのとこ、と言いますと?」 本当に名前ちゃんの事妹みたいに思ってんのかって事だよ、その言葉にギルベルトさんが本日二回目の口に含んだ紅茶をフランシスさんの顔にぶっかけました。 「ギルゥゥゥウウ!!ちょっ、何!?お兄さんに恨みでもあんの!?」 「げほっ!!うぇっ、器官入った…!!」 「ったく…。で、どうなのよ菊」 「どうと言われましてもねぇ」 返事に困り苦笑いを浮かべると、不安そうな視線を向けたギルベルトさんと目が合った。 「そうですね、一つ言えることは…そう簡単には名前さんを譲れない、という事ぐらいでしょうか」 「え…。それって保護者として?それとも…」 「えっ何?どういう事なん?」 「これ以上はノーコメントでお願いします」 「うそっ!!マジで菊!?」 「えー、わけ分からんのやけど!どういう事か説明してぇやフランシス」 「いや、うん…知らないほうがいいかもしれねーぞ」 「ばばばばっか!!ほほほ、本田がそんなわけ」 「震えてる!!ギル手震えすぎて紅茶こぼれてるから!!」 「ふふふ」 たまには脅してやるのも良い薬になるでしょう。 ギルベルトさんにはもう少し危機感を持っていただきたいですしね。 「ただいまー!って、何やってんのむさ苦しい…」 「あ、おかえりー名前ちゃん!お邪魔してんで〜」 「ボンソワール名前ちゃん」 「やっほー。トニーさんと髭」 「髭!?もうなんなのこの子反抗期!?」 「男4人でお茶なんてむさ苦しいですよ…。あ、このフィナンシェ美味しそーう」 「これお兄さんの手作りだよ」 「そうなんですかー。ギル、毒見して」 「俺かよ!?つか今の今まで皆で食ってたし大丈夫だっつーの!」 「なら安心だ。一つもらいますねーフランシスさん」 「どんどん食べちゃってー」 ハァハァハァ…。お菓子を頬張る名前さん萌えですカワユスですハァハァ… それにしても名前さんが帰ってこられて男だらけのむさ苦しい空間に花が咲いたような気分ですね。 これで名前さんがメイド服をきて「今から晩ご飯を作るりんこ!」と言ってくだされば言う事がありませんのに… 「本田さん、さっきから気持ち悪いです。にやにや笑ってこっち見ないでください」 「いやぁ、メイド服もいいですけど猫耳も捨てがたいですねぇ」 「何の話だ」 その後は皆さんで和気藹々と名前さん手作りのハンバーグをいただき幸せムード満開でした。 なんだかんだ言って賑やかな夕食が好きですからね、名前さんも。 私も名前さんの嬉しそうな笑顔が見られてとっても幸せです 立ち上がったギルベルトさんのポケットからはらりと落ちた何かに気づいた名前さんが鬼のような形相をし、「これはどういう事?」と一枚の写真を拾い上げました。 それに気づいた私とフランシスさんとアントーニョさんは即座に玄関へダッシュしスタコラッサッサと帰って行ったのですが…。 遠くで「これで私を脅そうとでも思ってたんだろ!!なんとか言えやジャガ芋野郎ぉお!!」と腹に響く大声とギルベルトさんの悲鳴が木霊しました。 グットラック、ギルベルトさん! . ←|→ |