「はぁ?お見合い?」

『そうなのよー。川平のおばさん居るでしょ?おばさんがどうしてもアンタにって』

「でも私結婚する気なんて無いし。それにお見合いなんてまだ早いよ」

『お婆ちゃんもそう思うんだけどねぇ。それにあんたにはプーちゃんも居る事だしね。うふふ、あんたたちどこまで行ったの?』

「どこにも行ってませんから。とにかく嫌だよ、お見合い」


夕食を終え、一息ついた時間を見計らったように祖母から一本の電話がかかってきた。
電話の内容は近所に住んでいる世話焼きの川平のおばさんが私にお見合いを勧めて来たとのこと。
てゆーかさっきからギルとアーサーが至近距離で電話に聞き耳立ててるんですけど…
暑苦しいなぁこいつら


『ともかく一度会うだけでいいからね。昨日郵便で向こうの見合い写真送っておいたから』

「そういや何か来てたなぁ…。って、それって私も見合い写真撮らなきゃいけいないの!?」

『あんたの写真はホラ、成人式の時に撮ったやつ渡しておいたよ』

「っておおおい!!何年前のだよ!!詐欺じゃん!」

『大丈夫よぉあんた変わり映えしないから。ともかく今度の日曜、忘れるんじゃないよ!詳しい事はお見合い写真と一緒に入ってるからね』

「ちょっとお婆ちゃん!!」

『あ、プーちゃんに代わってくれる?早く孫の顔見せろって言っておかなきゃねぇ』

「もう勝手にしろよババァアア!!」


電話をギルに投げつけてソファの上にダイブする。
あぁもう、なんでそんな大事な事勝手に決めちゃうのかなぁ…
そりゃあ彼氏も居ないしこの先結婚できる見込みなんてないけどさ…。


「お、おい。大丈夫か?」

「アーサ〜。どうしよう、お見合いなんて」

「おっお前にその気が無いなら別にいいじゃねーか。行って飯食って断って帰ってこればいいだろ!」

「そうなんだけど…。面倒くさいなぁーせっかくの休みに」

「お婆さんの顔も立ててやれよ」

「うーん…」


ぎこちなく頭に乗せられたアーサーの手が髪を撫でて気持ちがいい
ギルはお婆ちゃんとの電話にで盛り上がってるみたいだなぁ…


「そうだ、見合い写真ってどこにあんだ?」

「私の部屋の机の上に置いてると思うよー。頼むアーサー、持ってきてー」

「ったく、仕方ねーな」


うん、やっぱりアーサーは優しいなぁ。
アーサーの手が離れいくと、なんだか物寂しかった。


「これか?」

「それそれ。どれ、相手のお顔を拝ませていただきましょうかー」

「お前楽しんでるじゃねーか!」

「人生開き直りが大切だよアーサー。見合いの席で美味しい料理食べられるならいいや」

「お前な…!!」

「へぇー。32歳運営会社の時期かー。年収800万!うわー、悪くないかも」

「何言ってんだよ馬鹿!俺だってそれぐらい…」

「お前こんなのがタイプなのかよ!?」

「あ、電話終わったの?」

「あぁ。お盆には帰ってこいだとよー」

「りょうかーい」

「それでお前…そーゆーひょろい奴が好みなのか?」

「タイプではないなぁ。でも悪くないんじゃない?」

「じゃ、じゃあどんのがタイプなんだよ!」


なにやら真剣な面持ちの二人に内心引いてしまった。
何他人の見合い話に真剣になってんだこいつら…!


「私のタイプって…。あ、あれだよ。男らしくて…さっ、サディクさんみたいな…」

「サディクって誰だ!?どこの輩だ!!」

「ヤンキーみたいになってるよアーサー」

「あ、あいつが好みなのかよお前…」

「好みと言いますか…憧れってやつかなぁ。男らしくて素敵じゃん、サディクさん」

「分かった、そいつの住所と名前と…あと髪の毛用意しろな」

「何する気だアーサァアアア!!呪い!?なんか呪おうとしてるでしょそれ!!そんな事させないからな!!」


アーサーの胸倉を掴んでガクガクと揺らすと「ば、ばか…顔がちけーよ」と頬を赤く染められたので殺意が芽生えた。
なんで顔赤くしてんだよこいつ…!!!
ギルはなんか固まっちゃってるし…。本当に面倒くさい奴らだなぁ


「とにかくお見合いだよお見合い!!着物とか着た方がいいのかなぁ…。でも着物だと堅苦しいよね。清楚なお嬢様みたいな服装でいいか…」

「いっいいか、飯食ってさっさとフって帰ってくんだぞ!!」

「美味しいケーキを一緒に食べましょうとか誘われてもついて行くなよ!!マジでお前ならやりかねないぜ!」

「お前ら私をなんだと思ってんだコラァ」


私は小学生か。
とにかく美味しいものを食べるたけ食べて帰っちゃえばいいか。
何もドラマとかでよくある「後は若いお二人にお任せして…」なんて展開になるわけもないしね!
食べて断って帰る。よし、これならなんとかやれそうだ。
それにしてもやけに必死だよなぁこの二人。
まぁギルは私に彼氏でも出来ちゃったら色々肩身が狭いだろうし、アーサーも私が居なくなったら友達居ないもんね。
もし逆の立場で、ギルやアーサーに彼女ができちゃったら私も寂しいもんね。
アーサーはともかく、ギルは彼女なんてできるのかなぁ…
第一条件がエリザ並の胸のでかさだもんね。あのでかさの人はなかなか居ないよ。

見合い写真をテーブルの上に置き、バスルームへ向かう。
お風呂から上がると、なにやらギルとアーサーが真剣な面持ちでお見合い相手の写真を睨みつけてブツブツと話合っていた。
ちょっ、なんか怖いんだけどこの二人…
アーサー目が血走ってるし

見なかったことにして今日は床につこう。
てゆーか最近あの二人仲良いよね…。
まぁ男同士だし、似てるもんなぁ性格も。
不憫なところとかツンデレな所とか。


…別にちょっと寂しいとか思ってねーぞちくしょー。


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