4.働いて始めて知った事がある
「アーサーさんアーサーさん、アーサーさんのパンツは箪笥の一番下で良かったですよね?っていうか何ですかこの色気のない下着は!!もっとピッチピチの下着とか持ってないんですか!!体のラインがよく分かるようなものをお勧めしますよ私はぁあ!!アーサーさんそんな綺麗な体してるのにもっと表に出すべきだと思うんですよねぇ、もう腰とかエロすぎて堪んないですもん!!あ、それからこれクローゼットの奥から出てきたんですけど何なんですか…!!もももももしかしてこれは裸エプロ「勝手に人のもの漁るんじゃねーよバカァアアアア!!!!」
はぁいグットモーニン!!
只今NEETを卒業してアーサーさんの所でメイドとして働かせてもらってます!!
アーサーさんにフリフリのメイド服を差し出された時は何のプレイを強いられているのかと思ったけどもう3日もたてば慣れてくるよね!!
やたら丈の短いスカートもニーハイソックスもヘッドドレスも慣れれば良いってもんですよ!!
「はぁあー…アーサーさんとずっと一緒に居られる仕事ってなんて素敵なの…!!」
「アホか。さっさと掃除しろ!!昨日みたいに勝手にアルバムとか漁ったらマジでクビにするからな」
「畏まりましたご主人様ー!!!」
箒を片手にお掃除?いえいえそんなメイドはこの時代にはおりません!!
掃除機片手にスイスイと床の上をお掃除してゆきます。
3日もたつとアーサーさんのお家の事も分かってきて、こんなお掃除でも楽しくって仕方がないのだよ!!
『あれ、貴方アーサーのお気に入りじゃない!!』
ん?今なんか聞えたような…気のせいだよね
『ねぇねぇ、そんな事していないで一緒に踊りましょうよ!!今日は珍しく晴れているのに外に出ないのは勿体無いわ!』
「あれ、なんだこれ。見たことない虫が居る!!」
ズゴゴゴ
『いやぁああああ!!吸わないで、掃除機で吸わないでぇえええ!!』
「虫が喋ったぁああああ!!」
『虫じゃないわよ妖精よ!!』」
「虫が喋ったぁあああああ!!」
『って人の話聞きなさいよーっ!!!』
妖精さん(自称)はプンプン頬を膨らませてながら私の周りをくるくる回った。
うわぁ、こんなとこに妖精なんて居たんだ…。
『ねぇ貴方、アーサーの事好きなんでしょ?』
「うんそうだよ。むしろ愛してますから!!」
『だったらアタックするだけじゃダメ!!男は尽くしてくれる女に弱いんだから!!女性特有の母性のような愛で包み込むのよ!!』
「マジですか姐さん。けどそんなのであのアーサーさん相手に効果ありますかね?」
『貴方は自覚してないかもしれないけど、結構アーサーってアンタの事気に入ってるのよ?じゃないと相手にしないもの!!まぁツンデレだからいつもは突っ張ってるけどね』
「ツンデレかぁ。ツンデレ萌えだよね」
『人の話聞いてる?』
どうやら恋の類のお話が大好きな妖精さんは私に協力してくれるらしい。
妖精さんから妖精さんへ、妖精さんからゴブリンさんへ、ゴブリンさんからユニコーンさんへと話が流れて行きいつの間にか私の周りはオカルトちっくな皆さんでいっぱいになっていた。
『良い皆、名とアーサーをなんとしてでもくっつけるよの!!』
『『おおー!!』』
「ありがとう皆!!私頑張るよ!!」
『いいぞニートー娘!!』
『頑張れー!!』
「皆ありがとう、ありがとーう!!」
あれ、私何やってんだろう。
ここにはお金を稼ぐために来たわけであってこんな…
「なーにやってんだお前ら!!」
『キャーアーサーが来たわ!!』
『逃げろー!!』
『眉毛ー!!』
「今眉毛って言ったの誰だ!!ったくあいつらは…。お前も仕事サボってねーでちゃんと掃除しろよな。それ終わったら紅茶淹れてやっから…。べ、別にお前の為なんかなくてだな、いや、そうだけど…だからその、頑張ってるみたいだしご褒美に、だな…」
「ねぇねぇアーサーさん」
「なんだよ」
「これって、働いてるのかなぁ」
「はぁ?」
「なんだか前と変わらない気がする」
「それは…」
「私って何もできないし馬鹿だし頭悪いしさぁ。ただアーサーさんが好きって事しか頭に無いし。こんな事でちゃんとアーサーさんの為にお仕事できてるのかなぁ」
「馬鹿。そういう事考えるのはちゃんと仕事ができるようになってから言えよ」
「アーサーさんアーサーさん」
「んだよ」
「仕事をするって思ったより大変なんですねぇ…」
「今頃分かったかニート上がり…」
「だって私はアーサーさんが好きで、一緒に居たいからあの眼鏡の誘いを断りましたよ。仕事がしたいんじゃない、アーサーさんと一緒に居たいんです。だけど仕事ってちゃんとしなきゃいけない事だし。割り切れないっていうか…。こんな事でアーサーさんの役に立ててるのかなぁって思っちゃいまして。お金ももらってるのにこのままじゃダメですよね、もうなんかモヤモヤしてきちゃいましたよ。とにかく一つ分かってる事はアーサーさんが大好きって事ぐらいですかねぇ、ほんと私ってこれしかな「いいから黙ってろ」
働いて始めて知った事
(え、いま唇に、え…?)
(仕事、サボるんじゃねーぞ)
(へ?)
2009.8.2
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