晴矢のばかと一緒にサッカーをして泥だらけで家に帰た私は一足先に泥もそうだが汗を流そうと風呂場へ向かった。いつもこの時間帯は私以外殆んど使用しないので急かされることなく有意義に使えたりする。ゆっくり湯船に浸かって身体でも休めよう。マッサージもしなくては。そんなことを考えながら私は脱衣場のドアを開けた。
「あ、ごめん。もう少し待って」
そこには見知らぬ人間がいた。何故見知らぬ人間がいるのか。なんだコイツはと思うが、それよりもあるものが目に入って私の脳内はパニックになってしまった。何故なら脱衣場にいた人間の胸には二つの膨らみがあったのだ。しかも風呂上がりなのか頭にタオルを被り下しか身に付けていないというなんとも目のやり場に困る格好だったのだ。私はあまりの出来事に今思えば死にたくなるが、映画やドラマで死体でも見つけた女の如く甲高い悲鳴を上げると勢いよくそのドアを閉めたのだった。
あまりにもベタといえばベタ過ぎる展開と刺激が強いのではないかと思う出来事に頭がショートしその場で放心していると、ドアが開き中から女──しかも先程向こうにとって最悪の鉢合わせとなってしまった相手だ。──が出てきた。夢ではなかったのか。いや、そうではなくて!!
「お、お…っ!」
「お?」
「お前はなんていう格好で出てくるんだ!!きちんと着替えろっ」
なんとその女は下はいいとして上に下着と上着を羽織るだけ(要は前開き)という格好で出てきたのだ。嫁ぐ前の娘がはしたない!ああもう!なんなんだ一体!
目の前の女に対する疑問は、この後普段の私ではあり得ないほどの剣幕で説教を終えた頃、入浴する為風呂場へとやってきたヒロトにより発覚するのであった。







(早くいえばか!)
(え?言ってなかったっけ?)










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「見えない臓器の名前は」
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