※十二国記パロ



最近理解した。俺の麒麟の使役達は俺をあまり快く思っていないということを。けれど、麒麟に何かした記憶もない。確かに俺は胎果というものだからこの世界の理や礼儀を一切知らないし迷惑をかけてばかりだ。けれど、それだけで快く思われないのは正直納得いかない。全く努力していないのならわかるが、俺なりに少しでも麒麟の、民の理想に叶うよう勉学だって、政治だって頑張っているのに。もしかして今の努力では足りないのだろうか。
「カゼマルは十分頑張ってると思うよ?」
麒麟の使役の中では俺と共に行動をするのが多いディランに相談してみたら思わぬ答えが返ってきた。ならば、何故。その思いが顔に出ていたのか、ディランはどこか困ったように笑った。
「多分、カゼマルにエンドーを取られたって思ったからじゃないかい?」
「俺が円堂を…?」
「エンドーは麒麟。麒麟は王のチュウジツな僕なんだって。だからエンドーはミーたちよりカゼマルを優先する。それがマークたちには面白くないんじゃないかなぁ」
「しかし、この世界ではそれが当たり前なんだろ?」
麒麟は天帝の代理のようなものであり、王の一番の従者と言えよう。それに王と麒麟は一心同体のもの、と学んだ。ならば麒麟である円堂が王である俺を優先することは必然であり、当たり前のことではないのだろうか。するとディランは一言普通はね、と呟いた。
「カゼマルは麒麟がどうやってミーたち魔物を使役するか知ってるかい?」
「…いや?」
「麒麟はね、死後魔物にその身体を差し出す。その代わり死ぬまでの間ミーたち魔物を使役として従えるんだ」
正直驚いた。死後?死後に身体を差し出すって。それって…。
「そう、食べちゃっていいよってこと!本来はこの形でケイヤクが成り立つんだけど、ミーたちはエンドー本人に惚れ込んで使役になってる。まあ、ケイヤクはやむを得ずしてはいるけどね」
「そう、なのか…」
「………だからね、ミー以外のみんなは惚れ込んだ相手に自分でない他の一番がいることが嫌なんじゃないかなぁ」
「そんな無茶な」
「それと……カゼマルがエンドーを殺す相手だから、なのかもしれないね」







(ディランの瞳は包帯で覆われわからない。けれど、)




(俺にはわかる。いつ、手に掛けるのか、と)





きっと、向けられるは憎しみ。







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