※十二国記パロ 「おう、て」 チョコレートのような茶色の髪をし異国の伝統的衣服を身に纏う同い年くらいの少年はただ俺を真っ直ぐ見据える。膝を折り、テレビのドラマや漫画でしかないような。君主にしかえるかのような体勢で、ただ俺だけを。 なんだこれは。なんなのだ。頭がついていかない。この状況に、少年の言葉に。コイツは一体何を言っているんだ。おう?くに?むかえにきた?何のことかさっぱりだ。戸惑う俺に気付いていないのか、少年は再び告げた。 「迎えに来たんだ、お前…じゃない、我が君を」 何処か焦りを見せる少年にどうしてよいかわからなかった。夢だと思うには周囲の視線は冷たく、けれど現かと思うには現実味のない状況。こんなの、俺は知らない。何処からともなく現れたかと思えば周囲の視線をものともせず真っ直ぐ俺の元にやってきて、こんな。何も言えず見つめ返すことしか出来ないでいると、またもや前触れもなく人間──容姿からまるで外国人だ──が出現した。しかも、床から。驚きとどこか人間とは違う雰囲気に恐怖を感じているとそいつは俺を一瞥だけし少年に向き直った。 「勘づかれたようだ。アルデナが足止めをしているが、早くしないとここも危ない」 少年は短く言葉を返すと俺に向き直ると頭を下げた。 「我が君。俺は如何なる時もお前に忠誠を尽くすことを誓う」 「な、に…」 「許すと言ってくれ。頼む」 どこか申し訳なさそうに。それでも強い意思の籠った瞳に俺は言われるがまま許す、と呟いていた。 未だに俺は己の身に何が起こっているのか、わかっていない。 (許すって、) |