「あ、涼野!」
「円堂守…悪いが少し邪魔するよ」
俺と円堂と茂人の三人で話してたら風介のヤツがいきなり割って入って来やがった。いつもの如く悪態を吐くが普段ならそれを倍返しで言い返すヤツが何も言わないどころか茂人と向き合う形で前へ立った。なんだこの組み合わせ。そう思っていたのも束の間。風介は茂人の名前を呼ぶととんでもない爆弾発言をしやがったのだ。
「挨拶をしに来た。厚石茂人、晴矢は私がもらい受ける」
「は…?」
茂人がぽかんとなるのも当たり前だ。いきなり俺をもらい受けるとか宣言されたところでだから何だと言いたい。つか、なんで俺だ。なんで俺自身でなく茂人の許可なんだこの馬鹿。
「え、と…もらい受けるって?」
円堂も困惑しているらしい。当たり前だが状況が飲み込めず風介に説明を求めた。
すると風介はいきなり俺のえりくびを掴んで引っ張るとなんと人の口にく、唇を合わせやがったのだ。死ね!風介ッッ!!いきなりのこととまさかの行動に口を金魚みたくぱくぱくと開閉させていると仕掛けた風介はしれっとした顔で一言、こういう意味だとかなんとか言いやがった。はぁあ?!何がこういう意味だってんだッ!
「あ、あー…」
頭がパニックで何も考えられなくなっていると円堂の気の抜けたというか。言葉に迷っているような声が聞こえた。すると茂人の低い風介を呼ぶ声が。これは怒っているのだろう。当たり前だ何せ目の前で野郎同士のキスシーンとかいくらなんでもない。というより親友のピンチだからな。
しかし、幼馴染み兼親友茂人は俺のピンチを救ってはくれなかった。
「………本気、なんだな」
「ああ」
「わかった。但し晴矢を泣かせたりしたら許さないからな」
今!!今許しちゃダメだろ?!
この親友はピンチを救うどころか更に奈落へ突き落としやがったのだ。忘れてた。そういえば茂人って抜けてるっていうか天然っていうか…とそこまで考えたところで冷や汗が。だって天然が。天然がもう一人この場にいやしなかったか?
ぎぎぎと錻人形よろしく円堂を見ると、円堂は顔を真っ赤にしつつも俺と風介を見た。
「その…俺、二人のこと応援してるから!」
「ちっげぇぇぇええええええッッ!!」
この生暖かい空気を醸し出す天然バカ二人に耐えきれずついに叫んだ。
「お、お前らな!!止めるとか男同士にツッコミを入れるとか俺が何よりこの馬鹿のこと好きでもねぇってことに気付けぇぇえええ!」
「え?でも晴矢が幸せになれるなら…」
「男同士だろうとサッカー出来るから俺は気にしないぜ!」
「ふん、本心では私のことを好いているくせに何を言う」
「んの…馬鹿共ぉぉおおお!!」
三人のズレた発言に我慢の限界が来た俺は、親友や少なからず想いを寄せている相手がいることも気にせずにアトミックフレアを食らわせた。これくらい許されるだろ…。








(何々?晴矢は涼野と付き合ってるんだって?)
(ちっげぇぇええええ!)









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