俺の周りの友人は男だってのに何故か料理が上手いヤツが多い。別に男のくせに軟弱な、とは思わないが何故か異様に多いのだ。おひさま園にいたヒロト達や家族を亡くした吹雪はわかる。吹雪は中学生なのに一人暮らしだし、ヒロト達は園仲間で同居していても当番制らしい為料理が必然的に上手くなるのはわかる。また、虎丸も実家のことを考えれば日常的に作るのだから上手くて当たり前なのだろう。
けれど、別に一人暮らしでも当番制でもないというのに豪炎寺や風丸…あの鬼道でさえ上手いのだ。俺なんて目玉焼きがやっとだというのに。話によると豪炎寺は妹の為に時々作っているらしいし、風丸なんて俺が気付いた頃には趣味の一つかと思うほど料理をマスターしていた。鬼道は趣味の一環で気晴らしに作るらしいのだが。他にも料理が上手い連中ばかり。今の世の中男でも料理の一つや二つ作れなければ失格なのかと思う程だ。俺も今日からサッカーだけじゃなく料理の練習もするべきかもしれない。そう染岡に相談すると気にするなと返ってきた。
「俺だって目玉焼きくらいしか作れねぇし。んなこと気にする必要ねぇって」
「そうかなぁ…でも聞いてみたら綱海や立向居も出来るみたいだし」
今度弁当作ってきてやる、なんて言われればやはり自分も作れなくてはいけない気分になるのだ。
せめて弁当くらいは、と。
「いいんだよ。どうせアイツらは食べてもらいたいっていうだけの理由だろうからな」
染岡はよくわからないことを言うと俺の頭をぐしゃぐしゃと撫で回した。よくわからないが、今は気にしなくていいらしい。その言葉を信じて、取り敢えず料理修行はまたの機会にすることにした。








(でもせめて、スクランブルエッグくらいマスターしようと思う。)








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