「何してんだ?」 「…ああ、晴矢か。ネタが浮かばなくてな」 「ふーん。小説家ってのも大変だな」 「そう思うなら少しは手伝え」 「はぁ?無理言うな。小説のいろはも知らねぇヤツに何言ってんだ」 「別にいろはなど知らなくてもいい。ネタを提供しろ」 「例えば?」 「裸で盆踊り踊るとか、逆立ちして町内一周とか」 「一人でやってろ」 「友達がいのないヤツめ」 「まず友達ですらないからな」 「仕方ない。では身体を提供しろ」 「人の話聞いてる?つか身体って何しろってんだ。盆踊りも逆立ちして一周もしねぇからな」 「安心しろ。そんなことではない」 「じゃあ何だよ」 「そこの椅子に座れ」 「何でテメェに指図受けなきゃいけねぇんだ…これでいいか?」 「ああ」 「………ところで、何で服に手なんか掛ける必要がある」 「ネタの為だ」 「…いやいやいや。おかしいだろ。ってオイ!服脱がすな!」 「大人しくしろ。インスピレーションが湧かない」 「知るか!うわ…ッ!ばか、触んなっ」 「煩い、少しは黙ってろ」 「んな…っ、!!」 「で、食べられちゃったと」 「うるせぇ。だいたい何でネタ提供であんな屈辱を味わにゃなんねぇんだっ」 「え?!」 「なんだよ?」 「えっと…晴矢って、風介が何のジャンル書いてるか知らないの?」 「はぁ?…………………おい、まさか」 「そのまさか」 「…あ、あの野郎ッ」 (長年一緒にいて気づかないのもどうかと。) |