これの続編



まっくらまっくら。あたりはしらないふうけい。どうしよう、まっくらでなにもみえない。それにどうやってきたのかもわからない。これはもしかしなくてもまいごというやつなのかな。どうしよう、かえりみちわかんない。きたみちもわかんない。まっくらで、こわい。こわい、こわいよ。とおちゃん、かあちゃん…ここどこ?うぇ…っ、かぜまるぅ。
おとこはなくもんじゃないっていうけどむりだ。だってこわいんだもん。だれもいないし、みえないし…。どうしよう。ずぅっとこのままなのかな。かえれないの、かなぁ。やだ、やだよそんなの。かえりたい、かえりたいよぅ。とおちゃ、かあ、ちゃあ…。
「どうしたの?」
「怖いのか?」
ひとりでかなしくて、さみしくてないてたらしらないこがぽんぽんってあたまをなでてくれて。なんだかそのてがすっごくあったかくて、さっきまでこわかったはずなのにぜんぜんこわくなくなって。かおをあげたらきものみたいなへんなふくきたふたりがいた。そっくりだからふたごってやつなのかなぁ?
「もしかして道に迷ったの?」
じっとみてたらやさしそうなこがきいてきた。おれはうんってうなずいた。まよってかえれないんだって伝えたらえらいねってまたなでなでしてくれた。
「こんなトコ迷うなんて器用なヤツだな」
「こら、アツヤ!大丈夫だよ。僕達がちゃんと帰してあげるからね」
「ほんと?」
うん、ほんとうだよ。っていったらちょぴりいじわるそうなこがちいさないしがついたくびかざりをかけてくれた。なんだろこれ?
「それ付けてれば大丈夫だ」
「…?」
「ちゃんと帰れるってことだよ」
かえれる!やった。これしてれば、かえれる。かあちゃんたちにあえるんだ!
「さ、あそこを真っ直ぐ歩いてご覧。来た道に戻れるから」
「おい!それはスゲーいいやつなんだから出来るだけ身に付けとけよ!」
「うん!ありがとっ」
やさしそうなこのさしたほうにおれははしった。はしってはしってはしったら、いつのまにかかぜまるとあそんでたじんじゃについていた。ああ、ほんとだ。ちゃんとかえれた!
「えんどー!」
「かぜまるっ!」
かぜまるのこえだ。きっとおれをさがしてくれてたんだ。はやくいってあやまらなきゃ。
そうだ。またふたりにあえたらおれいいおう。ちゃんとありがとっていおう。それから、このいしもまいにちつけよ。またまいごはいやだもんな!





浮上する意識の中、円堂は何があったかわからずただ天井を見つめていた。先程の映像は何だったのか。夢にしてはリアルだったような気さえする。しかし、身に覚えがない。一体何だったのか。
一人首を捻っているとそこでふと、思い出した。夢の内容で唯一円堂が知るもの。思い出すや否や円堂は寝起きというのに普段サッカー以外では考えられない程の軽やかさでベッドから起き上がると小学校に上がった頃からの付き合いである机の引き出しを漁り出した。引き出しの中は無造作に物が詰め込まれ、中に何があるかわからない状態だというのに、何故か迷う…いや、大して探すこともなくそれは出てきた。
「あった…」
円堂の掌に収まるそれは、先程まで見ていた夢に出てきた小さな石の首飾りである。乳白色のした石には穴が空けられており、それに紐が通してあるといういたくシンプルな作りのものだ。夢と変わらぬそれに円堂は向きを変えたりと石を眺めみるも、其処ら辺の石ころと大して変わりなく見える。違うとするならば石が乳白色でつるつるとしていることくらいだろう。しかし円堂は暫し石を見詰めたかと思えば、夢で言っていた二人の少年の言い付けを守るかのようにそれを首にぶら下げたのだ。しかし、夢で少年は帰れると告げただけであり、今の円堂は帰れるも何も道に迷ったわけでも帰れなくなったわけでもない。円堂にとって必要とは言えないだろう。しかし円堂は石を、まるで願いでも込めるかの如くきつく握り締めると同時に、そっと瞼を閉じた。震える睫毛は何かを憂いているように見えなくも、ない。しかし、何を憂いているのか。何を思ってなのか。それは円堂自身…いや、もしかすれば円堂自身も気づいていないのかもしれない。

日差しを浴びてキラリと、円堂の何かに応えるかのように石が光った。








寝物語とは限らないと語るのです。








(夢は現実の裏返し)




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