温かいなぁ。外は寒くて震えそうだけど、この手だけは温かいと思う。実際熱が伝わっているのだから当たり前なのかもしれないけど、そうじゃなくて。温かいんだ。触れられるだけで。触れるだけで。手だけじゃなくて、心も温かく感じるんだ。冷えきった身体がみるみる温まるような、そんな感じがする。
もっともっと温もりを感じたくてぎゅっと握ると、ヒロトもぎゅって握り返してくれた。
「守、寒くない?」
最近になって初めて出逢った頃のように名前で呼ぶ声に擽ったくもあり、心地よくもあり。俺はヒロトの低すぎず、高過ぎない優しい声を感じていたくて一人目蓋を閉じると大丈夫と呟いた。それでも心配してなのか、ヒロトは身体をさっきよりくっ付けると、繋いだ手を自分のポケットへと入れる。外気が遮断され、先程よりも温かくて、感じる温もりに冬も捨てたもんじゃないなって思った。






(だってこんなにもアナタを感じられる)














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「見えない臓器の名前は」
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