※親円子三強



可愛いな、と思う。それと、引き取って良かったなって。
すやすやと三人仲良く並んで眠る姿に自然と笑みが溢れる。今日の為に頑張ってよかったと。あまり稼ぎはよくないから大したものは買えなかったけど、喜んでくれたらいいと思う。そうだ。明日は一緒にプレゼントを選んでくれた風丸達にお礼を言わないと。
子供達の為にと同僚であり、幼い妹がいる豪炎時から貰った少し大き目の靴下の中にプレゼントを入れて枕元に置いてやる。殺風景な寝室が少し明るくなった気がする。
「……これくらいしか出来ないけど、」
独り身だし、四人で暮らすには少し狭いし、折角のクリスマスだってのに一緒に過ごせないどころか大したご馳走やクリスマスツリーだってない。けれど子供達は皆文句を言わずにいてくれる。細やかなケーキとちょっと奮発した手料理を嬉しそうに食べてくれた。
子供達は有難う。なんて言ったけど、礼を言うなら俺の方だろう。こんな俺を慕ってくれて。一緒にいてくれて。本当に感謝している。お礼を言っても足りないくらい感謝してる。俺には勿体無いくらいいい子達だ。もう手放せないくらい。
「ありがとな」
親らしいことなんて何もしてやれないけれど。それでも子供達が望むまでは一緒にいられたらいい。ああ、来年も三人でクリスマスを過ごせたらいいな、なんて思いながら静かに部屋を出た。






パタン。静かに閉まるのを聞いてからゆっくりと目を開けた。晴矢も風介も同じように目を覚ますと三人静かにただ天井を見上げた。
「ありがと、だってよ」
ふと晴矢が呟く。それにうん、と答える。
「俺たちのほうがありがとうなのにな」
またうん、と答えた。
「守は、わかってないんだ」
今度は風介が呟く。
「私たちがどれくらい救われたか、なんて。どれくらい守が好きか、なんて」
そうだね。わかってないね。でもね、きっとそれはお互い様なんだと思う。お互いに大好きだけど、お互いに思うところがあるんだろうなって。何かは、まだよくわかってないけれど。
「ならさ、明日言おうよ。大好きだよって。守のこと、好きだって」
守が気付いてくれるまで。わかってくれるまで。好きだよって。感謝してるんだよって。引き取ってくれたのが守でよかったよって。裕福でなくても。あんまり守といられなくても。それでも。守と家族になれたことが幸せだって。
「うん」
「そうだな」
三人頷くと、合図したわけでもないのにそろって目蓋を閉じた。


ねぇ、守。明日朝一番に言うよ。






(大好きだよって!)










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