いい加減にしてくれないかな。そうは思うけど、これでも雪原のお姫様とやらで通っているので(なんだその通り名と思わないでもないけれど。)にこやかな笑顔を崩さず、やんわりと断りを入れる。僕の本心を知らない男子はコロッと騙されてくれる。内心罵詈雑言であろうとも、笑みを浮かべるだけでいいのだ。ちょろいよね、本当。ああ、男ってなんて愚かな生き物なんだろうって思う瞬間だよ。にこにこと表面上だけ取り繕いながら軽く手を降って男子を見送ると、横にいたキャプテンが服の袖を遠慮がちに引っ張ってきた。わかってはいるけど、どうせ、いいのか?とか聞くんだろうな。
「…よかったのか?折角誘ってくれてたのに」
やっぱり。がっかりしながらも頷く。大体先客はキャプテンなんだからあんな男子のことなんか気にする必要ないのに。それでも思うところがあるのか、去っていった男子の方を見つめる。
「でもさ、かっこよかったろ?」
「キャプテンはさ…ああいうのが好み?」
確かに顔はまあまあだけど…でも、僕の本心を見破れないようなヤツなんて駄目だよ。あんなのキャプテンには釣り合わないんだから。ううん、キャプテンに相応しい男なんてこの世に存在しないよ。ああ、僕が男ならキャプテンのこと守ってあげるし、いつだって傍にいてあげるのに。
一人悶々と考えていたら、キャプテンは違うと首を横に振った。ああ、よかった。杞憂で本当によかった。まあ、もし好きな人が現れても邪魔するだろうけどね。
「けど、勿体無いなってさ」
「なんで?」
「だって吹雪モテるだろ?付き合わないのか?」
「……キャプテン程のいい人がいたらね。僕、キャプテンのこと大好きだから」
「うん、俺も好きだぞ!」
本当に欲しい言葉はそれじゃないけど、今はそれで我慢してあげる。ねえ、キャプテン。この世の男なんてみんな欲にまみれた人間なんだよ?上っ面しかみないようなヤツらなんだ。だから、他の男なんて、好きにならないで?







(男と同じ醜い欲にまみれているのはだぁれ?)










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