同性云々を抜きにしても幼馴染みってのは役得だ。気軽に遊びに行けるし、他より無防備な姿を見せてくれるし、優先してくれたり、触れ合うのだって。何より他のヤツらより独占出来ている時間が多いのがいいと思う。まあ、その分損も多いが。例えば全く恋愛面で見てくれることはない。どんなにアプローチしようと想いは平行線のまま。同性であるから当たり前と言えば当たり前なのだが。それと、幼馴染みだからこそわかる些細な変化。これはある意味最悪だ。だって気付きたくないことに気付く時だってあるのだから。ああ、そんなことよりも一番の損であり、嫌なことがあった。今ではない、未来の話だが彼女に。円堂と共に歩む異性だ。そんなヤツの存在が現れると考えただけで嫌だ。きっともし、円堂に好きなヤツでも出来たら俺は直ぐに気付くのだろう。察するのだろう。そして、幸せを祈るしかないのだろう。俺のモノならいいのになんて思わないわけではない。けれど、俺がせめて男であったのなら。円堂は少しでも恋情を抱いてくれるのだろうか。俺を、意識してくれるのだろうか。 「風丸…?どこか悪いのか?」 「…、円堂。いや、なんでもないさ」 サッカーしようと円堂の意識を逸らしながら思う。もし異性であったのなら、この平行線の想いは、届くのだろうかと。 (なあ、円堂俺がもし、男であったなら) 俺を少しは意識してくれただろうか。 |