ぺろり。円堂は信じられないとでも言いたげな目で私を見た。それもそうだ。何せ私は円堂の太股を伝う血を舐めたのだ。しかも、怪我で負った血ではない。所謂女性特有の血を。それでも私は気にせず舌を這わせた。呆然と見ていた円堂も流石に慌てたのか、血が流れる足を後ろへ引いてそれを阻止する。そんな抵抗などあまり意味がないのだが、嫌がっているようなのでそのまま足を離してやった。
「す、ずの」
「なに」
「なに、て。お前何舐めてるんだよ。汚い、だろ」
言うことはそれか。もっと別に言うことがあるんじゃないのかと思わないでもないが、円堂らしいといえばらしいのかもしれない。私はただ円堂の質問に首を横に振ることで答えた。私があまりに真面目な顔で答えたからなのか。円堂は困惑した表情を浮かべる。
「汚いよ」
「汚くない。円堂のならこの血だって唾液だって全て全て綺麗で美味しい」
「おかしいよ…」
おかしい?確かにおかしいのかもしれない。けれど私にとっては事実なのだ。円堂のならどんなところも余すこと無く舌を這わせれるだろう。寧ろ喜んで味わくらいだ。だってこんなにも綺麗で美味しいモノなんて他に存在しないのだから。
「ねぇ、円堂」
「…なに」
「もっと舐めさせて?」
顔を真っ赤にさせて震える円堂に、彼女が好きだといった指で太股をそっと撫でた。
きっと円堂のことだ。おかしいと思っても、きっと私のお願いをきいてしまうのだろう。




(ああ、いつか私は物足りなくなるのだ)


(舐めるだけでなく、彼女の全てを私のモノに)








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