08



あれから雲雀のお父さん直々に銀色の棒"トンファー"の使い方を教えてもらって早数ヶ月。

わたし達は5年生になって運良く笹川と雲雀と同じクラスになれた。その後の席がえで、席が近くなったのもきっと何かあるかもしれないと思う今日このごろ。



『昨日、みっちゃんが変な人にあったって知ってる?』



みっちゃん。

一昨年から同じクラスの清水 美佳ちゃん。背が小さい。しっかり者で学級委員もやっている。


となりの雲雀に話しかけると「知ってる」と返された。(情報早っ!) 雲雀の前の席にいる笹川は首をかしげているあたり知らないみたいだ。



『最近多いよね、変な人とか殴る人とか』
「……、だね」
「清水がどうかしたのか?」
『どうかしたよ。知らないなら別にいいし』



ふん、とそっぽ向くと笹川はあせったように謝ってきた。必死に謝ってくるもんだから許したけど内容は話さなかった。みっちゃん本人から聞くんだね笹川。(本当に聞きに行ったらバカだ。笹川ならやりそうなんだよなぁ…)

つまり他人が勝手にベラベラしゃべっちゃいけないって事なんだけど。



『わたし、とりあえずアレはいつも持つようにしてるよ』



笹川が必死に謝ってきたところあたりから雲雀は口元を緩ませて楽しげだ。…まるで自分の腕を試したいかのような。まさか。



「役立つ日が近いかもね」
『…近くなくていいよ』



それって変な人かぼう力な人に会うって事でしょ? いやだよそんなの。いくらごしんじゅつ習ってるからって、わざわざ会いたいとは思わないし。(雲雀が雲雀のお父さんと戦ってる時、本気になってるところあるよね)



―平和な並盛にならないかな。




ランドセルの中に閉まってある自分のトンファーを無性に手にしたくなった。



(みっちゃん、怖かったんだろうな…)




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