06 僕は2時間目の国語でようやくとなりの優に声をかける事にした。 今日の優は教室に入る時にため息、席ついてため息、(僕にあいさつした後ひと呼吸おいてため息した時はムカついた)、ホームルームが始まる前にさいてい5回はため息。つまりは朝に会ってからずっとため息ばかりついている優にガマンができなかった。聞いてる方がイライラする事、知らないでしょ? となりでイヤでも聞かされる身にもなってほしい。 『…え、あ、ため息出てた? ごめん、ちょっと考え事しててさ…』 じゅぎょう中だからお互いにひそひそと会話。 あ、またため息つこうとしてる。 ため息が全て出る前に優の口を手でふさいだ。 『?!』 「むいしき? 言ったばっかりなのに今ため息ついてた」 ふさいでた手を離してあげると「ごめん…」と優はつぶやいた。もうあやまらなくていいってば。 そうこうしている間にじゅぎょうはどんどん進んでいく。 「何になやんでいるか知らないけど、休み時間になったら聞いてあげるからため息つかないで」 そう言ってじゅぎょうにもどった。 少ししてとなりからため息もきこえなくなりじゅぎょうに集中してると思った時、横から優がうでを軽くたたいてきた。 目で「何?」と伝えると、優はゆび先を優のノートのいち部分をさした。 "今日 ひばりの家に行ってもいい?" その下にえん筆でひとこと返事を書いた。 今日は何もなかったはず。 "いいよ" 優も僕の返事の下にえん筆でさらさらと書く。 "ありがとう!" さっきまで落ちこんでたのに、僕の家に行けるとわかったしゅんかんちょっと笑顔がもどった。 ため息がなくなったり、たかが僕の家に来れる事でいつもの優に少しもどってくれるのはまぁいい。 でもわざわざ紙に書いてする事なの? 口に出した方が早いじゃないか。 (女子のこうどうはわからない) |