安定が少し傾く



私は佐々木で、幼馴染みは沢田。

偶々女子の方が〈さ〉の前に50音順で早い子が多くて、並中アイドル笹川さんも偶々私より早い子であるが為に私の前の席。

休み時間、笹川さんの周りには黒川さんがいて楽しそうに笑っている。その横顔をチラチラと見ている幼馴染み。なんだ君も笹川さんに興味があるのか。周りの男子と変わらない。わかりやすい反応してれば幼馴染みの近くにいた男子が笹川に興味があるのかと冷やかしにくる。あわあわと慌てる幼馴染みは周りに〈ダメツナも笹川が気になっている〉と認識された。


自分も周りと同じなんだと認識させたんだ。


その様子をぼーっと眺める。
笹川さんが後ろに振り返って私に笑いかけてきた。なんなんだろう。



「お昼、一緒に食べようよ」
『…』



入学してから1ヶ月とちょっと。
初めてクラスメートにお昼を誘われた。これは一応誘いにのらなければならないといけないよね。クラスメートの付き合いも大切だって先生も言ってたっけ。



『いいよ。ここで食べる? 机後1つ並べるだけでいいし』




愛想良く笑って話進める。
幼馴染みはまた屋上に食べに行くんだろうから。



感情のこもっていない琥珀の瞳で私と笹川さんをみていたのは気づいていた。何を思っているかなんて予想はつく。俺の席あてにしないで、とかね。結局珍しく教室にいる幼馴染みがいた時点で予想は確信に変わって、仕方なく私の隣の机を借りることにした。そいつは他の席移動していたらしいし。



「私、笹川京子っていうの。よろしくね」
「私は黒川花よ。よろしく」




ふわりとお花がまわりにとんでいるかのような笑みを笹川さんにされたが、生憎笹川信者になる気はこれっぽっちもない。






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