20 ドアの小窓から見えたのは、怪しく笑っている数人の男子生徒と眉を寄せてる1人の女子生徒。 その先生は女子生徒が転入生だという事にすぐに気付いて、何かあってはいけないと助けに行く為ドアに手をかけた時に、男子生徒が1人倒れた。 何が起きたのかと、ドアに手をかけたまま小窓の中を見続ける。 転入生が(いつ取り出したのかわからない)両手に灰色に近い色の金属の棒を手にしていた。 掃除用具入れから箒を取り出したもう1人の男子生徒は、それを手に女子生徒に向かう。女子生徒はそれでも恐怖の表情を見せず、逆にどこか面倒くさそうな感じだ。 振り下ろされた箒を左の棒で受け止めて右の棒で相手を殴る。 そうして数分後には男子生徒が全員倒れていた…―。 「それでな、職員会議で話し合った結果が生徒会に入ってもらって、学校の不良を大人しくさせて欲しい、となった」 『いや、それって、え?』 それって私も不良の部類に入るんじゃないの?逆に普通そこは恐怖の対象になるんじゃないの? とかとかキリがないくらいにツッコミどころ満載し過ぎてウズウズするが、相手は担任であり教師なのでツッコミが出来ない。 「すまん、頼む!」 『……』 担任に頭を下げられた。 …下げられてしまった。 そこまでされると断れないじゃん…。確かに男子はほぼ全員目つき悪いし、女子はそのせいで怯えてる子半分くらいは見かけるけど。 (でも、忘れ物を取りに戻った日の事を先生に見られてたなんて…) とにかく言わせて下さい先生、 私まだ中学生になったばかりですよ。 *** それから私は渋々条件を出して、生徒会に入った。生徒会の人達に挨拶しに行こうと向かったらそりゃあ凄かった。部屋の中が汚い。ペンキで壁に落書きされてたり、書類がテーブル全体に広がってたり色々。 後、誰1人、いない…。 え、これ、押し付け、じゃないよね? 担任から受け取った、絶対紙じゃない何かが入ってる怪しいA4封筒の紐をほどく。 中身を見ると、1枚の紙と黒い何かが入っていた。私は黒い何かを取り出す。 『腕章、だ…』 黒の布地で、縁が金色の刺繍でされており、生徒会の文字も金色の刺繍でされていて、とにかく立派に作られたものだった。 へえ。 生徒会に入るとこんな立派なのを貰えるんだ…。 紙には何書いてあるんだろ? 腕章をしまって、紙を半分取り出すところで私の手は止まった。 何故なら封筒から出てきた文字が信じられないものだった。 "生徒会・会長" サッ、と紙を封筒に戻す。 いやいや待て。 会 長? …何かの間違い? あぁあ! 先生が間違えて私の封筒に入れちゃったんだな! うん! と思いつつ、再び紙を取り出す。 "生徒会・会長" "沢田 優" 『……、なんで私ぃぃぃぃぃ?!!!!』 叫び声は少し遠くの教室まで届いたという。 (は、はああああ?!!!) |