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わたし達がトンファーをふり回して数分もたたぬ内に、最初男2人は戦う気満々だったのに次第に顔を青くし、口にくわえていたタバコを落とてコンビニの袋も置いたまま逃げ出した。


まだ顔にしかきざみ込んでないのに…!! みぃと同じ部分の腹にはけりを一発入れたけど一発だけじゃ足りない!!

待ってッッ!!


追いかけようとしたいのに体が動かなかった。



『はなして雲雀ッ!!』
「今日はこれまで」
『いつもの雲雀なら止めないっ! なんで止めるの!』



片方の腕をしっかりとにぎりしめられていて、いったんトンファーをはなして、雲雀の手を引きはがそうとしてもなかなかはなれなかった。指からはがそうとしても全然はなれない。



「私情をはさんだら周りが見えなくなるから」
『雲雀だって私情をはさんでるじゃんか!!』
「…じゃあ、周りは見えてるかい?」



一瞬、低くなった雲雀の声でわれに帰った。

なぜか自然と涙がじわ、と出たかと思うと次から次へとどんどん涙が出てきて止まらなくなって、視界がゆがんだ。



『、だってけっ、みぃを、アイツがッ!、』
「あんなヤツを追いかけてあの子猫をここに置き去りにするの?」



追いかけたい。
追いかけて、みぃをけった"つみ"をつぐなってもらいたい。

だけどそしたら、
相当のダメージを受けて動けないみぃをおいて行ってしまう。

また、見捨てる形になる。 そんなのイヤだ。


まだ雲雀は私の腕をつかんでいて、私の涙は雲雀の腕に落ちていく。はがそうとがんばってた手は雲雀の手の上に重ねた。



『…ごめん、ありがと』
「泣くヒマあるんなら子猫の方に行け」
『そうだね』



へへ、と笑ってやっと腕が解放された。

急いでみぃにかけよれば、ただならぬふんいきがただっている。

丸くなって、目がじていて、口が少し開いていて、


お腹が、動いて、ない。
本来上下に動いている場所が。
(まるで固まってる、みたいだ)


しゃがみ込んで恐る恐る心ぞう部分に手を当てても、そこが動くことはなかった。

止まりかけていた涙がふたたびあふれ出す。体内の水分が全て出て行ってしまうんじゃないかな。
さっきは撫でられなかった頭にふれる。

毛質はちょっと悪いけどふわふわで、このさわり心地が好きだった。体は最低限肉が付いていたから、誰か優しい人がエサをあげてくれていたんだと思う。



『雲雀、ごめん、スコップ借りてきて欲しい』
「今日は特別だからね、命令聞くの」



じゃり、ときびすを返して珍しくスコップを取りに行ってくれた。ありがとう、雲雀。

足音が聞こえなくなって、私は悲しみと悔しさを込めて地に叫ぶ。



『あ゛あぁあああああああああッッ!!!!!』




そして、私の決断もこの時にした。


他を守れるくらいの力が欲しいよ、お父さん。



(ここがわたしの、)
(原点)



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