13



―決めるのは俺じゃない。優、お前なんだからな。



やっぱり雲雀にお土産届けた数日後にお父さんがふたたびやってきた。

というより、自宅から離れた公園に呼び出されて、驚くような話を聞かされた。

わたしがトンファーを使っている事を実は知っている、ということ。

それをお父さんが(何故か)イタリアで見てくれる、ということ

おかげで授業に全く集中出来なくなってしまうし、お父さんの話がぐるぐる頭を回ってる。


…あれ?
前にもこんな事あったっけ…?


―ガンッ



『い゛、だあああッ?!!!』
「人の話しを聞け」
『イタいッ!!それはイタいッ!!』



あまりのイタさに目元が熱くなる。

頭をトンファーでなぐられたんだ。気絶しない程度の強さで。おかげで視界がチカチカしたよッ!



『な何?!』
「行くよ」
『え、どこに?』



真横で一緒に歩いてた雲雀がランドセルをうっとうしそうに片方の肩にかけて走って行く。

今学校の帰りだよ?!!
どこによるの?!!



『待って雲雀ぃぃーー!!!』



遅れて私も走り出した。

***


重いランドセルを背負いながら全力で走ったから息が乱れたが、そんなにキョリはなかった。

"並盛中学校"

私達が再来年通う学校の門前。



「準備はいいかい?」



先にたどり着いていた雲雀はランドセルをすでに門の端に置いてあって、両手にはにぶくヒカルトンファーがにぎられていた。
(息きれてない…)

て事は草食動物を見つけたんだ。

、…待って。



『ここ中学校だよ』
「知ってる」
『かくにんするけど、草食動物は中学生?』
「そうだよ」
『うわ』



ついに中学校にまで手を出したよ。これ私もついて行く感じだよねえぇ。

はあぁ、とため息を付いた時にふと耳に入ってきた。



「みゃあ」



妙に高い猫の鳴き声。辺りを見回して見なくても直ぐに見つかった。

門の少し先に、


茶色で、長いしっぽだけが白い子猫…―。


大きな黄色い目がこっちを見て直ぐに校舎の方に走って行ってしまった。あの体の色は、

多分。そうだよ、


約1年前の記憶がよぎる。
並盛神社の裏で内緒に飼ってた、



『待って!みぃッ!!』
「ちょっと、」



ランドセルを投げ出して私はみぃを追いかけた。

ずっと、忘れてた。
記憶のおく深くに無理やり押し込んで、押し込んで。

並盛神社の裏
ダンボールの中
独特のにおい
一生懸命に鳴いてた。

ノミを取りのぞくためのお金が払えなくて、綱吉の事を考えると家に連れて行けなくて、お母さんにも話す勇気もなくて、

最終的には見捨てて、ズルいわたしは記憶をおく深くにしまい込んだ。


生きてたんだ、

たった1匹で、


わたしはあなたにあやらなきゃ!!
見捨ててしまったから!!
わたしに勇気がなかったから!!

もしわたしに勇気があったなら…っ!!



ブレる視界に何度も目をこすってみぃを追いかける。今は泣いてる場合じゃない!

すばしっこいみぃが校舎裏に向かって、わたしも校舎裏にまわった時、


短くて強い鳴き声と共に、茶色と白が不自然に横に吹っ飛ぶのが見えた。


(あ、)




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