12 わたしは雲雀家にあがり込むと彼の部屋に真っ直ぐ向かった。 『はいこれお土産』 「何」 部屋のほぼ中心にある座いすに座ってた雲雀に青い紙袋を押し付けた。 前もって訪問する事を言ってなかったけど、最近はしょっちゅう押しかけてる気がするから多分平気かな。雲雀のお父さんにトンファー教えてもらいにだとか、ヒマだからとか。ヒマを理由に行くと半分以上の確率で追い返されるが、たまーに相手(トンファーでやり合う)にさせられる。 『え、何ってお土産』 「…」 いかにもいらないって顔された(わたしだってそんなバカじゃないから雲雀の好みに近いのをえらんだつもりよ!)。でも久しぶりに出かけたし、色々お世話になってるしちょっとお礼くらいさせて欲しい。 『大丈夫。中身はシンプルな文具とハンカチだから』 「…そう。どこ行ってきたの?」 『お父さんと遊園地!!めっちゃ楽しかった!!』 それから定位置にすわり込んでお父さんと遊園地で遊んだ事を聞かせた。と中、財布を落として大さわぎした事や夕方雨降ったけど夜にはやんで、パレードや花火がキレイだった事。 雲雀はうざったい、とでも言いたげな表情をしていたが見ぬフリをつらぬき通して話した。なんだかんだ話をさえぎってくれなかったところに優しさを感じる。 「なんでわざわざ僕に」 『お土産ついでに聞いて欲しくて』 へへっ、と笑う。 だって聞いてくれる人、お母さんしかいないもん。綱吉は多分お父さんの事あんまり好きじゃないと思うから聞いてもらえないだろうし…。なんでキライなんだろ? よっぱらいなとこ? いびき? ピーマンきらいなとこ? 『でね、次いつ会えるかわからないってさ。でも、またすぐ会える気がするんだよなあ。直ぐに…』 これはわたしの、カン。 そう数日後にまたお父さんに会える気がする。 『あ、多分ね多分!』 「僕としてはずっと母子家庭だと思ってた」 『…え゛、おおお父さん勝手に殺さないで!』 確かに普段お父さん家に居ないから会話に出る事なかったけどさ! まあ、そう思われてもしょうがない、のかな。 雲雀は袋に止めてあったシールをビリッとはがしてテーブルの上で逆さに袋を上下にふった。 ばらばらと中からあい色のシャーペンと、男の子が持っていても可笑しくないがらの、うすいハンカチが落っこちてきた。 ちょ、何その開け方。ざつ過ぎません? 「礼は言うよ」 『出た上から目線』 そう言うと雲雀はふところからトンファーをちらつかせた。わたしを黙らすつもりなんだろう。 つい(イヤな)クセでわたしはふところから完全に出してしまった。 ………トンファーを。 頭の中でキケン信号が飛びかい、背中に冷や汗がつたう。 『い、や、そのこれはついマネでね、』 「受けて立つよ」 にやり。 まるでわたしの行動をねらったかのような意味もふくめた笑みだった。 かくしんはん?!! (た、ただいまぁ) (あらあら、そんなに疲れた顔して沢山遊んできたのね!) (………うん) |