11 昨日、飲んだくれの父さんが帰ってきた。 (あー、どうも沢田 綱吉です。) 何やら3日間休みをもらったらしくて、今日が2日目。昨日俺が帰ってきた時にはテーブルに1、2本空の酒びんが置いてあった。話しかけてくる度に酒くさいしテンション高くてウザいし、俺は父さんをあんまり好きじゃない。どっちかと言えばキライだけど。 前回父さんが帰ってきたのはたしか俺の入学式。父さんと母さんに見守られながら式に出れた事はうれしかった。だけど父さんはその後は祝いだとか言っていつもよりかなりの量のお酒を飲んで、つぶれてしまった。 そのすがたを見て、父さんはただお酒が飲めればいいのかと ただ、飲める理由が欲しかっただけなんだと その時の俺はよいつぶれた父さんをさめた目で見てそう思った。 そんな父さんが好きな優姉がわからない。俺にはりかいできない。 『ねえ綱吉、お父さんとどっか行きたいとことかない?』 「僕は母さんと待ってるから2人で行ってくれば?」 朝ご飯の後、部屋のベッドでくつろいでいた俺は姉にそういうと優姉は気に入らないのか口をとがらせた。 『綱吉は行かないの?』 「うん」 『お父さん、次いつ帰ってくるかわからないんだよ?』 「うん」 『それでも?』 また俺は「うん」とうなづく。俺は行かないの。何われても同じだと表すためにマンガをよみはじめる俺に優姉は少しうなってから、『お土産買ってくるね』と苦笑いで静かにとびらをしめた。 「はあ」 役目を終えたマンガをてき当にほうりなげてため息をついた。 父さんが悪いんだ。 早く仕事に戻ってくれないかな…… 視線を窓に向けた。 空には雲一つない、出かけるには良い青空が広がっている。 (今日は雨降らないといいけど…) |