10 テーブルの上にはいつもの倍以上が乗っかっていて、いかにお父さんが帰ってきた事に嬉しかったのか見てわかる。 …ついでに言うと、肉料理が多い。 「みんな手を合わせて!」 「「『いただきますっ!』」」 お父さんがいる時に限ってする行動なんだけど、(まあ、理由はお父さんがかけ声担当だから) お父さんのとなりにわたし、わたしの目の前に綱吉、綱吉のとなりにお母さん。 お父さんが綱吉の冷たい態度に負けじと積極的に話しかけているけど、「そうだよ」「ふぅん、それで?」とか短い返答しかしない。お互い肉料理しかハシをすすめていないところは似てるのに! (確かお父さんピーマン、キライだったっけ) 密かにお父さんの皿にピーマンを乗っけているとお父さんがこっちにふり向いて、肩がぴくりとはねた。 「優は学校生活どうだ?」 『どうって……、』 今にも皿にもったピーマンをわたしの皿に移動させようとしてるから、自分の皿を遠ざけながら学校生活をふり返ってみる。……ダメだ。 雲雀とトンファーしか思いつかないよ! お母さんにだって言ってないしとっても言えない!トンファー使ってごしんじゅつ習ってるなんて知られたら危ないからって怒られるに違いないっ!! 『あー…、それなり、だよ』 「そうか!楽しいか!」 うん? 楽しい…? 楽しい、のかな? どうなんだろ。 『それよりお父さん。ピーマン食べれる人って格好良いよねえ?』 お父さんが楽しいと思ってくれているならそれでいいや、と自己解決をして野菜炒めをつまみながら遠回しに"ピーマン食べてね"と言ってみる。 ああいう風に言えばお父さんは頑張って食べてくれるのをわたしは知ってる。 (お父さんがキライなピーマンを食べれば、きっと綱吉もキライなニンジンを食べてくれるかもしれないから。) 「よーし綱吉、お父さんと一緒に苦手な野菜を食うか!」 『はい、綱吉の』 わたしの意図を読み取ってお父さんは綱吉もさそってくれた。綱吉の皿にキライなニンジンやらピーマンを少しもった。 シワを寄せた綱吉も、結局はお父さんにつられて恐る恐るニンジンを口にしてみたが面白いくらいに顔をゆがめて、わたしは頑張って食べた綱吉に悪いと思いつつ笑ってしまった。 その後仕返しに肉を大量にもられたが。 (後2日間、お父さんと何しようかな) |