09 今日は雲雀に用があってトンファーの稽古がない、だから帰ったらヒマだ。 何しようかと思いめぐらしているとわたしは自分ちの標識あたりで足を止めた。庭先に大量の物干し竿がかかっていて異常な量のつなぎが干してあったのだ。 『も、もしかして…』 つなぎを着るなんて誰だかわかってる。家族の中であの人しかいない…っ!! ダッ、と急いで玄関に入り靴をぬいでリビングのドアを開けた。 『ただいまっ!!』 「ふふ、お帰りなさい。そんな急がなくてもお父さんはいるわよ」 「おー優!!」 お母さんの向かい合うように座っているお父さんはほんのり顔を赤くしてヒラヒラと手をふっていいた。 テーブルの上にあった数本の酒瓶は今回だけ多目にみて、わたしはお父さんにだきつく。 『お帰りなさいお父さん!』 「ははっ、見ない内に大きくなったな!」 『だってもう5年生だよ!』 お母さんとは違う、ごつごつとした大きな大きな手で荒っぽく(けど優しく)頭を撫でてくれて、自然と笑みがこぼれる。 何年ぶりだろう。 最後に会ったのは綱吉の入学式くらいかな。お父さんは外国の石油掘りの仕事があるからなかなか家に帰ってこれない。大変な仕事なんだって。 ―でも、お父さんは大きな何かを隠してる気がする。 何かなんてわからない。ただ、とても大きな隠し事を持っていそう。 でも…、お父さんだって隠しておきたい事の1つや2つ、あるよね。 『休みが取れたの?』 「3日だけなんだけどな」 『忙しい、もんね』 「優はお父さんを心配してくれるのか?!!!」 え?! このテンションはなになに??、と目でお母さんに伝えると「さっきツー君に心配してない、て言われたのよ」と教えてくれた。あれ? 綱吉はお父さんキライなの? 「今日の夕飯は豪華にしなくっちゃ!」 ごうかっ?!! 何作ってくれるんだろう?!! ランドセルを背負ったままリビングにきちゃったから、お父さんからはなれていったんへやにもどる事にした。 (家族4人は久しぶりだな!) |