もしもキミが、


マグルであるミリアに相談というか話を聞いてもらうには思ってた以上に大変だった。1年間で身についてしまった魔法界用語がつい口に出そうになるのだ。

まず友達のロンとハーマイオニーの事。2人から手紙がこないことを話そうとして「ホグワーツ」と言いかけたり(すぐ言い直してただ「学校」とだけ言っておいた)、おじさんとおばさんとダドリーのことも僕が魔法使いだからとか口走りそうになったり、口が勝手に動いて自分の口じゃないみたいにべらべらとしゃべりまくった(流石に魔法関係はなんとかばれないようにしたけど…)。

最後にヘドウィグの話になった。おじさんが梟嫌い(実際は違う意味で嫌いなんだけど)で籠に南京錠をかけて閉じ込めてるんだと、ミリアに話すとミリアは大きな声で「信じられない!!正気なの?!!」と叫んでくれた。

だってミリアはラルフをとても大切にしているし、相棒だとも言ってたから。全寮制の学校にいる時はいつも離していることを話し、閉じ込められていることが見ているだけで辛そうだと話すとミリアはどうやってその鳥籠を外へ出せるかを考えてみると言った。


「鳥籠のままでもいいから家から出してあげられれば、後は壊すだけでなんとかなりそうよね」


ロンやハーマイオニーと手紙でやりとりしていない分、こういう会話がとても新鮮に感じる。まるで悪戯を考えているような、去年の賢者の石関連のことを思い出して余計に楽しく感じられた。本当に2人は僕のこと忘れちゃったのかな…。


「そういえば明日、おじさんにお客が来るらしいんだ」
「そうなの? じゃあその時狙いましょ」


ミリアは自分の鳥でもないのに心配してくれて、さらには助けてくれようとしてくれている。



―ミリアが魔女で、一緒にホグワーツに通えたらいいのに。

そしたら、ミリアも一緒に通えたらもっと楽しくなるに違いない! そうだな、なんとなくハーマイオニーと意気投合しそうな感じはする。

ラルフはイヌワシだけど賢そうだから梟の代わりになれるし、ホグワーツならいっぱい鴉が飛び回っているから遊びまくりだ。それにヘドウィグと仲良くなってくれると嬉しいな。

でも、タカジョウが出来なくなるんだ…、タカジョウをやってるミリアは男の子の僕が見ていてもカッコいい。だけどおじさんとおばさんはよく思ってない(ワシを巧みに操っているから疑っているに違いない)。偶にリビングの窓から見かけるミリアをぶつぶつ何か言ってるし、近所の人たちも、アパートを借りて1人暮らしをしながら鴉を追っ払っているミリアを変な目で見ていたのを、ミリアと一緒にいてわかったことだった。


「ハリーもちゃんと考えてる?」
「あ、ごめん、ぼーっとしてた」
「…さっき私もやったから人のこと言えないわね…」


ミリアは苦笑いしながら見上げた。木の幹にはラルフが止まっていて、丁寧に毛づくろいをしている。

いけない、ヘドウィグを助ける策を考えなきゃ。おじさんのお客が来るのは明日で、ミリアの考えている通り僕に向ける意識が極端に薄くなるのは夏休み中で明日だけなのだから、明日以外で決行する日なんてきっとない。

だからヘドウィグの為にも魔法をつかわないで助けられる方法を考えなきゃ! ミリアも協力してくれるし、僕1人の力じゃ無理なことでもミリアがいれば!




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