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休日、朝食を食べに大広間に向かうと、グリフィンドール寮のテーブルの真ん中あたりで朝食をとっているリーマスとピーターの姿を発見した。シリウスとジェームズの姿が見えないので彼らと一緒にとろうかと足を向ける。



『おはようルーピン、ぺティグリュー』



2人がおはよう、と返すと私はピーターの隣に座らせてもらった。ピーターの前にいるリーマスの皿の上には甘ったるそうなチョコレートがこれでもかってくらいにかかっているパンがある。え、それ本気で食べるつもりなの?


視線に気付いたリーマスが、これはあげないよ、と皿を自分の方へ引いた。


誰が朝からそんな凄いもの食べるか。確実に吐くから。


苦笑いで別に狙ってたわけじゃないよ、と自分はサラダに手を伸ばす。



「そういえば僕らのことファミリーネームで呼んでいるけど、ファーストネームで呼んでくれないかな?」

「ぼ、僕のことピーターでいいからね!」

『え、いいの?』



だってここにいない君らの仲間とあんまり仲良くないし…、と言うとピーターがこれから仲良くしていけばいいんだよ!、と言ってくれた。思わず、仲良くしていけそうにもないから別にファミリーネームのままでいいやと口走りそうになり、慌てて開きかけた口を閉じる。せっかくピーターがそう言ってくれたんだから断るわけにもいかないじゃないか! 自分のばか!


そこでプラス思考で考えてみることにする。

なんとなくシリウスとはやっていけそうなんだが、問題はジェームズだ。あの男は何がしたいんだかよくわからないし、私のことを嫌っているんだかそうじゃないんだかはっきりしない。

この間、大広間でジェームズと付き合っている疑惑で問い詰められているところを助けてもらったかと思えば、フィルチの罰を一緒にやっていた時はなんかやつあたりされていた気もするし。


そう、ジェームズと何故付き合っているとかの噂が流れたのか、私はそれがわからなかった。だって明らかに苛められていたのにだ。どうしたらそう発展するのか。

本人もいないことだしリーマスに聞いてみることにした。



「それは簡単だよ。莢佳とジェームズは何度か談話室で一緒に寝てただろう?」

『全て不本意だけどね』

「グリフィンドール生は自分の部屋行くまで必ず談話室を通らねばならない」



リーマスの話は嫌でもわかった。

つまりは目撃者がいたこと。同じようにさぼっていた奴らがいて、男女の友達でも一緒に寝はしないのに私達は(リーマス曰く、仲良く)一緒に寝ていたから。

なんだそれ。
納得いかない!! 誰だ大迷惑な噂を流したやつは!!


と思っても別に犯人を探す気は起きないので、理由がわかって満足した私はサラダを口に運んだ。噂が流れた後はほとんどジェームズと関わらなかったのが良かったのか、次第に噂が消えていったのだ。そのおかげで今は前と変わらず平穏に過ごせている。


『後の2人はどうしたの?』

「クィディッチの練習に行ってる」

『…え?』

「だからクィディッチの練習」

『ク…? な、何?』

「…知らないの…?」

『うん』



リーマスがありえない!!と言いたげにチョコをつけた口を開けている。隣を見ると目を大きく開いて口をパクパクさせているピーター。


デジャヴ。


え、クなんとかって、何?







(それって何なの?)
(まさか莢佳は新入生じゃないよね?)
(新入生ではないけど編入生ではあるよ)
(莢佳って編入生だったの?! 僕初めて知ったよ!!)
(気づかなかったんだ…)

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