02
横目でちらり。
材料刻んでまたちらり。
彼女は隣で黙って鍋をゆっくりかき回している。ペアは僕と組む事になった(見知らぬ女の子に勝手に組まされたんだ!)。
黒髪に碧い目。見た目東洋人っぽいんだけどなぁ、体ちっさいし。気になってまた隣を見ると彼女もこちらを見ていた。
内心驚く。
『余所見してると自分の手、切るよ』
「もう、材料入れていいかい?」
僕は笑顔を貼り付けてごまかした。
彼女、僕がちらちら見てたのに気づいてたんだ。
『いいんじゃない?私知らないけど。貴方のタイミングで入れて』
そう言うと視線を鍋に戻してまたゆっくりとかき回し始めた。
知らないって…。
黒板に書いてあるじゃないか!
「黒板見なよ」
『見えない』
「眼鏡貸そうかい?」
『いらないから。早く材料入れるなら入れて』
会話をする度に少しずつ僕のイラつきが増していくのがわかる。
さっきから上から見るような言い方してくるのは無自覚?
失敗する事も気にせずに、嫌がらせとして刻み終わった材料を入れてから次に混ぜる(間違った)材料を鍋の中に入れようとした。
『ちょっと、それ違うやつじゃん』
が、瞬時に手を叩かれて持っていた材料が離れて机の上に散らばった。
「なに?」
『間違ってるよ、その材料はこの次入れるやつ。ほら早く刻んだやつ頂戴』
目で急げと訴えかけてる。
黒板が見えない(=見ない)って言ってたからレシピを知らないと思ってたのに、指摘された(だからって叩かなくたっていいだろう?!)事が悔しくて乱暴に正しい材料を渡した。
『私にやつ当たりしないでよ』
こんな奴が同じグリフィンドール生なんて考えられない!!
スニベリーから標的変えてやる…!!
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