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03
日が傾いて、すでに授業は終わったというのに練習場で手裏剣の練習をしている1人の少年がいた。黒髪の少年は肩で息をしていて、的の周りには沢山の手裏剣が散らばっている。


思うように的の中心にいかねぇ…。
アイツの手裏剣は無駄な動きがなく綺麗に、まるで的に吸い込まれていくかのように刺さる。…どうやったらあんな投げ方できるんだ。


手元に残る最後の一枚に神経を集中させて、的の中心を狙って投げる。



「……、チッ」



だが、最後の一枚も僅かに中心の枠から外れて刺さっていた。

的に刺さったものから下に落ちているもの全て回収し投げる位置まで戻ると、校舎の方から紅い髪の少年が俯いてこっちに向かってくるのが見えた。赤髪といえば1人しかいないから顔見るまでもない。彼が顔をあげれば内心やっぱりな、と思った。


…本当、目立つ髪だな。


『……あれ?』

「こんな時間まで説教受けてたのか」




無意識にサスケのとこに来てたのか、と小さく呟いたのはサスケには届かず、手に持っていた厚みのあるプリントを丸めて適当に腰のポーチへと突っ込んだ。



『まあね、今までサボってた分の座学のプリント渡されたよ』



明は苦笑いで丸めたプリントが半分飛び出てるポーチを叩いた。


転入してきてからコイツが席にいるのを見たことがない。外の授業だっていない時だってあるくらいだ。大体姿を見せるのは午後が多い。(大して授業出てもいないのになんで手裏剣やらクナイを投げるのが上手いんだ)



『そういうサスケは…、聞くまでもないね』

「…フン」



コイツにだけは練習してるとこ見られたくなかった。
いや、誰にも見られたくはないが特にコイツだけは嫌だ。


サスケは丁度良く手裏剣を全て拾ったため、それをポーチに仕舞い明の横を通り過ぎようとすると名前を呼ばれて引きとめられた。



『もっと気楽に投げた方がいいんじゃないの?』

「は?」

『投げるときに力入れすぎだって言いたいの俺は』



ポーチからプリントを邪魔そうにどけながら手裏剣を一枚取り出して、サスケに見てるように目配せして手裏剣を投げる。


やっぱり吸い込まれるように刺さった。コイツ、元からセンスが良いのか?


明は的の中心に刺さった手裏剣を取りに行って戻ってきた。



『練習はここまでにしといて、ちょっと一緒についてきて欲しいとこあるんだ』

「俺は帰る」

『まあまあそう言わすに人づきあい大切にしろって』



帰ろうとする俺の腕を素早く掴んだ。



「甘栗甘なら行く気はない。奢る気もないからな」

『別に(年下から)奢ってもらう気はもうないからいい。とりあえず来い!』



解こうと振り払おうにも離れず、引きずられるように引っ張られ、否定の言葉を投げつけても耳をかさずに無理やり俺を連れて行った。



 
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