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「次は外よ!」
「お花の授業だよね」



嬉しそうに話しながら私の横を通り過ぎていくくの一クラスの子。

休み時間だから適当にふらふら廊下を歩いていた私は、そんな彼女らの会話がよく耳に入ってきた。今日は座学ばっかりで飽き飽きしていたから余計だ。すでに私の頭の中はくの一クラスの授業にどうやって出るかを考えていた。こんなこと考えるのは私くらいなんだろうなあ、流石のナルトもくの一クラスに潜入しようとか考えないだろうね。

花の授業なんて何年ぶり? あのときは全然花の名前とかわからなかったけどなんとかやってたのが懐かしい。

一人、いつの間にか静かになった廊下を歩きながら、赤茶の髪を金髪にして三つ編みを解き、口元を隠すように巻いていたマフラーも外した。女の子っぽさを出す服にする為、外したマフラー腰に巻いてちょっとおしゃれな感じを出す。



「学校の雰囲気を見にきた、転入予定生ってとこかな」



*


外に出た私は、こそこそとくの一クラスがいるところへと近づき、こっそりと授業の内容を聞く。"自分を表現する花をひとつ選び、それに合うような花もつけること"、要するにちょっとした花束にすればいいらしい。「前の授業を活かして作ってきてね、さあ始め」、先生が手を叩いたのを合図に女の子達が散らばっていった。

その中に目立つ色の髪をもつ子を見つけたので、誰にも見つからないように後を追っかける。あの子ならなんか一緒にいさせてくれそうな気がする。


結構歩いて着いた場所は周りが森に囲まれたちょっと開けたところだった。女の子はそこの中心に座り込んで、花を探すのかと思いきや膝を抱えて蹲ってしまう。暫く見ていても女の子がそこから動くことも顔を上げることもなかった。

(えっと、これは声をかけたほうがいい、のかな…?)

蹲っている間にも授業の時間は限られているため、探す時間が減っていく。あの女の子にとってそれはいけない。大切な授業のひとつだ。私はこっちが本業じゃないからこんな不真面目な行動してるけど。


気配を消すのを止めて木陰から姿を出しながら優しく声をかける。


「キミ、どこか具合でも悪いの?」


私の登場に驚いた女の子は勢いよく顔をあげてこっちを見た。目が大きく見開いている。このとき初めて女の子の顔をしっかりと見た私は心の中で、だからこの子に着いていったのか、と笑いながら納得した。私の時代ではいつでも元気いっぱいの貴女しか知らないし。

隣に座っていいか聞くと戸惑いながらも頷いてくれた。



「花束、作るんでしょ?一緒に作ろうよ」



にこりと微笑みながら誘ってみたものの桃色の髪女の子は視線を落とし、抱え込んだ膝に顔を埋めてしまった。どうしたものか、私は首を傾げる。初対面でこんな態度をとられたのは始めてで、未来のサクラは無理してキャラを作っているのではないかと疑ってしまうが、すぐにあれは無理して出来るようなキャラでもないなと思い直した。そもそも初対面ではこんな態度をしないで、愛想笑いでも迷惑そうな顔でもしながら返事をするのが一般的であると思っていたから、このパターンは新しい。

まず、私が誰とか思わないんだろうか?



「花束作らないと先生に怒られちゃうけど、いいの?」



顔を埋めたまま首を横に振った。
仕方ない、と立ち上がり前方に生えてる小さい白い花を茎短めにちぎって腕いっぱい摘んだ。女の子の後ろに回り込んで自分の横に花を置き、膝立ちになって「ちょっと動かないでねー」と綺麗な桃色に手を伸ばした。

両脇の髪を三つ編みしながら中心まで持ってきて私が使っていた髪ゴムでとめる。三つ編みした髪のところどころに摘んできた花をサクサク刺していく。



「我ながらいい感じ!」
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