01
『おじちゃん、豆大福3つ』
「あいよ」
代金とひきかえに豆大福がのっかった皿を受け取って、店の外の長椅子に腰をかける。訪れた町が偶々お祭りを開いているらしく、結構な賑わいだった。豆大福1つ手にとって、親子が笑顔で通り過ぎる風景を視界に入れながらひとくち。うむ、なかなかの味。結構豆が大粒だこと。
もうすぐで師匠が言っていた1ヶ月だ。
遡ること1ヶ月前、ここから離れた町でいきなり「私達とは分かれて1ヶ月後に短冊街に来い」と言われてついでにお遣いも頼まれた。一体何だろうと考えたがこれも修行の一巻だと思い、素直に旅支度をしてシズネさんと師匠のもとを離れた。
旅を続けていれば色々な里の情報が入り込むが大体は大きな尾びれがついて本当のことなど埋まってしまう。まさしく先日聞いた私の故郷の話。3代目のじいちゃんが大蛇丸に殺されたとか、そんな馬鹿な話があるか。…確かに力量と年を考えればありえそうだけど、火影がそうそうばったりいくはずがない。多分死にかけたくらいの重傷なだけなんだ。
お見舞いに行くついでに噂を確かめに行こうと考えたが、木の葉に寄っていたら約束の1ヶ月を破ってしまう。しかもお遣いも頼まれているからデコピンの刑どころじゃない…! そう考えたらぞぞっと鳥肌が立った。
大福2つ目に手を伸ばして晴れ晴れとした空を見上げる。
町の賑わいなどが自然と消えて行く。
木の葉に行きたい理由は他にも理由はあった。それは愛しい血の繋がらない我が弟。素直で可愛い子。
『サスケ……』