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03
「止めろ!!」
『っ!』



イルカさんの大声に意識が戻った。吹き出した嫌な汗がこめかみに伝わる。こんなところでフラッシュバックをしている場合じゃない。ミズキの言いたい事はわかった、ナルト以外の里の人達が守っていかなくてはならない"掟"を破る気なんだ。…でも私は動かない。彼はいつでも無知ではいられないのだから…。



「つまりお前がイルカの両親を殺し、里を壊滅させた九尾の妖弧なんだ!!」



"掟"を知ったナルトは動揺した表情になる。自分が里を襲ったバケモノ、大好きなイルカ先生の親を殺してしまった…。そして自分が一番憧れている人に…、


真実を聞かされたナルトはただ茫然とミズキの話を聞いている様だった。幼い頃からのイジメ、周りの大人達から容赦ない冷たく鋭い視線、暴言だって吐かれたに違いない。ずっと独りで、誰にも頼れず助けも求められなくて。

ー誰も信じられなくて…。



「イルカも本当はな!お前が憎いんだよ!!」
『(しまっ…!)』



ミズキは背中に手を伸ばし、背負っていた大きな手裏剣ー風魔手裏剣をナルト目掛けて投げた。また意識飛ばしていた私は足が咄嗟に出なかった。このままじゃナルトが…!!

攻撃をよけきれないと思った矢先、イルカさんが傷だらけの体で動いたのを視界に捉えた。イルカさんがナルトに手を伸ばし、術で逃げるのかと思いきや押し倒して覆いかぶさり背中を敵に向けたー。

(な! なんで避けない?!)

刃が肉を裂く音とイルカさんの背中から赤い血が飛び散る。苦しげに血を吐き出し、ぼそぼそとナルトに話しかけている。ナルトの表情が驚きの顔から、きっとミズキに言われたことが頭を巡っているんだろう、でもそんな自分を体を張って助けてくれた事に困惑しているように見えた。…これ以上はイルカさんの体が危ない、血を出し過ぎだ!

丁度、ナルトがイルカさんの下から抜け出して森の奥へとかけていった。追う様にミズキもこの場から消え去る。私は下に降りて、自力で背中の風魔手裏剣を抜こうとしている先生の手を掴んで離した。



『先生、ボロッボロの血まみれじゃないですか!』
「あ、明かッ?!ゲホッ、お前どうしてここに…?!」
『とりあえずこれ引き抜くから先生』



左手でゆっくり引き抜きながら右手で止血していく。途中呻いたが我慢してもらう(荒療治でごめんね先生、麻酔薬は持ってこなかったんだわ)。上手く骨をそれていて脊髄損傷には至らなかった様だ(運も実力のうち?)。抜き終わると傷口を治療して造血丸を無理やりイルカさんの口に押し込んだ。今日は色んな意味でインパクトのある血の出し方だから眠れなさそうだな…。



「ありがとな…。先生は急ぎの用があるからもう行かなくちゃならないが気をつけて帰るんだぞ! 本当に助かった!」



イルカさんが真上の木の枝に瞬身で上がると(フラついて危ない足取りだが)負傷者とは思えない早さでナルトが走っていった方へ木々を走り渡っていった。





(男って奴は)
(なんでもかんでも1人で突っ走るよね…)
 
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