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02
その晩、カカシ宅でサスケと一緒に卒業試験を合格した私はアカデミーを卒業してしまったので、これから先どう行動するのかを話し合っていたところで、一羽の鳥が居間の窓を嘴で叩いてきた。


今丁度お酒取り出してきたところなのに…測ってるのか?



「暗部の任務きてるよ」
『……イッテキマス』



泣く泣く(実際には泣いてないけど)お酒をカカシさんに手渡し、暗部服に急いで着替えて面を付けて速攻火影邸へと向かった。

まあ、ナルトが受かっていないからお酒を飲むべきじゃないのかな…。

***

着いてみると部屋のあちこち血が飛び散っており、なんと天井まで付着している。私はぐったりと椅子に寄りかかっている3代目の容態を確認すべく駆け寄った。



『3代目、敵襲ですか!? とりあえず造血丸です!!』
「あ、ありがとの…。いや敵襲ではないのじゃ……」



敵襲ではない…?
じゃあ一体この血の飛び散り様はなんだというのだ。3代目の御身体は傷ひとつついていなく、どこか打った跡もない。

何故か、少し鼻に血がついて……。



『3代目、正直に話してくださいね。その鼻血どうしたんですか?』
「こうしてはおらぬ、速攻にナルトを捜し出して巻物も一緒にここへ持ってきて欲しいのだ。…あやつわしの部屋から禁術の巻物を盗みよった。この近辺の森に隠れているはずじゃ」
『……逸らしましたね。帰ってきたら話してくださいよ』



ただの鼻血だと判明。天井まで血が付くってどんな鼻血の出し方したんですか3代目…(似たような現場をどっかで見たような気がしてならないんだけど、どこで見たんだっけな…思い出せない)渋々瞬身でナルトの気配を辿りながら森に向かう。


***

ナルトと接触するなら警戒されにくい"明"の姿に戻った方が効率がいいと判断し、暗部の面はウエストポーチに無理やり押し込んだ。

碧眼を利用しながらの捜索。耳を済ませているとなにやら騒がしい音が聞こえてきて、明らかに交戦中なのが予想できた。それがもしナルトなら(確立はもの凄く高い)ナルトの身が危ない! (巻物は後回しだ)

次第に気配と碧眼の能力によるチャクラが見えてきて、予想通りにナルトとまさかのイルカさんと木の上に卒業試験官として一緒にいたミズキが何やら話している場面に出くわした。嫌な雰囲気が漂う中、状況把握する為木から降りずに耳を傾ける。

この3人の立ち位置からすると明らかミズキが悪役っぽい…? (ニヒルな笑みを浮かべてるよ…?)


するとイルカさんが致命傷を避けた傷を抑えながら、止めろ!と叫んで必死にミズキのこれからとる行動を止めようとした。大きな巻物を背負ったナルトはおそるおそる、なんだってばよ…?と聞く。私はイルカさんの出血状態から見て少しは持つと判断し、様子を見る。



「十二年前…バケ狐を封印した事件は知っているな」



ミズキの言葉から蘇る記憶に苦い薬を飲んだように顔を歪ませた。私にとってとても辛い記憶のひとつだ。身の底から震え上がる咆哮、辺りに広がる錆鉄の臭いと赤い湖、泣き叫ぶ赤ん坊の声、最愛の人達が崩れゆく姿、涙を流しつつ幸せそうに微笑む2人、声にならぬ叫びをあげる……。
 
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