06
2日酔い(情けない理由…)でぶっ倒れた私は結構寝込んでいたらしく、帰りのHRに出て即解散だった。…死に物狂い(大袈裟)で学校来た意味は…? こうなるんだったら家で寝ていれば良かった。
と、後悔していても過ぎてしまったことは仕方が無い。うだうだしている最中にもお土産を渡そうとしていたナルトはすでに教室からいなくなっていた。それに気付いたのは半数近く生徒が減ってからだった。
『いない?』
うそー…。
探すにもナルトが行きそうな場所は知らないし、それなら明日また持っていけば確実だよね。よし、帰りに薬草採って帰って調合して完璧に体調戻さねば。
***
薬草を採る為に普段踏み入れない森に私は入った。
薬草採る以外に興味がない森だが、この奥にある湖はとても透明度が高く、ちょっとした治癒効果があって木の葉イチ綺麗な湖といっても過言じゃないくらいな湖がある。滅多に来ないが森に来たら必ずと言っていいほど寄るところ。
今日使う分以外にもストックとして欲しかった薬草など、大体の採取を終えて湖に足を運んだ私は目を丸くした。
『ナルト、奇遇だねー』
「明もここ知ってたんだな!」
偶然にもお土産を渡したかった人相手は湖の畔に座ってバシャバシャと足を湖につけて遊んでいる。ちょ、綺麗な湖があああ…。
お気に入りの湖だが、自分のものではないので注意の言葉を呑み込んで隣に座った。
『ここの湖は凄い綺麗だよな』
「透き通ってて綺麗なんだってばよ! 明は何しにここに来たんだ?」
んーー。
どう返答していいのか迷って言葉を濁す。
薬草採った帰りなんだけどこれって真面目に答えていいんだろうか。私とりあえず1人暮らし設定だし、薬草なんて子供が知ってるのはちょっとおかしいし…(綱手師匠を母親として話せば平気か。育ての親みたいな感じだし)、まあ別に知られて困ることでもないから大丈夫かな。
『薬草採取?』
「薬草? 何に使うんだってばよ」
『いろいろさ。頭痛薬とか傷薬とかにするためのものなんだ』
「へえー! 薬草って草なんだよな? どうやって見分けられるんだってば?」
ショルダーバッグからさっき採ってきたばかりの薬草を取り出して、軽く説明した。毒があるものでも薬になったり実をすり潰して使うなどと言った使用方法も混じえて。ナルトの顔は理解しているような顔を作っていたが始終「ふむふむ」しか言ってない。私としても別に教えたいわけでもなく、ただ久しぶりに自分自身のことを話したかったでけなので聞いてもらうだけでも楽しかった。
『そういえばナルトにいいもんやるよ』
「…! なになに?!」
バッグからナルトへのお土産を取り出して渡す。私からのささやかな気遣いも込められている。
「や、…野菜」
『野菜は野菜でも食べやすいようにとチップスを選んできたぞ! まさか俺という友達からのお土産を受け取らないわけないよな、ナルト』
「(わ、笑ってねえってばよ…)あ、ありがとな…」
引きつった笑顔で受け取ったが、良しとしよう!
好きだからって毎日ラーメン生活はいけない。生活習慣病っていう病気になったら大変だ(だからってチップスもどうかと悩んだが普通のポテチよりかはマシかと思って)。
「あ、…」
『ん?』
何か気づいたような声を出して野菜チップスを青空に突き出した。どうしたんだ。
「俺ってば友達から土産もらうの初めてかもしんねえ! ありがとな明っ」
大事そうにお土産を抱え込んで嬉しそうに笑うナルトを見て、つられて私も笑ってしまった。普段チョウジにお菓子もらったりイルカ先生にラーメン奢ってもらってもお土産ってまた別物だしね。ついでに砂隠れの話も聞かせて、その日は日がくれるまで2人で話し込んだ。