02
『こんなに重たいとは予想外だなー…』
「僕は持たないよ」
『……』
優しい優しいテンゾウさんは1/3くらい持ってくれるかなーなんて思って、持ってくれる?と意味を含めた言葉を言ってみるとキッパリ断られた。
何も言えない代わりによいしょ、と重たいリュックを背負い直す。自分の荷物だもんね、そりゃあ完璧期待していたわけじゃないよ。
「欲張ってお酒なんか買うのは自業自得だからね」
『ごもっともで…』
今は歩いて木の葉に向かっている最中。
あれから素早くお土産を決めて買い、ご当地のお酒も買ってリュックに詰め込んで暗部服に着替えて砂の里を出てきた。今は2日の夜。もう木の葉よりくらいだろうか。明け方になって木々を渡るように走っていけばお昼には着く予定だ。
しかし、世の中は上手くいかないようで。
突然、前を歩いていたテンゾウさんがぴたりと足を止めた。私も異変に気づいて同時に止まる。テンゾウさんが振り返って、目線で何かを伝えている。言いたいことがわかって私はすぐ頷いた。
(碧眼‐ヘキガン‐ッ!)
私の血継限界(といえるかは不確かなんだけど。なんせ変異だからね)のひとつ、碧眼。これは主にチャクラ探索に優れていて、使うと視界が薄い水色一色になり、そこにチャクラを持つものであればオレンジ色で反応する。
(前にシズネさんがとても綺麗で透き通った青色ですね、って言ってくれたっけ…)
そう思い出しながら辺りを見回して、テンゾウさんに指で上を指して3人だと伝える。
相手は少し離れた木の上でこちらの様子を伺っているようだ。こちらとしてもその方が嬉しい。
だって、テンゾウさんが、ね?
*
『お疲れ様ですテンゾウ先輩!あ、先輩って響きいいかも!これからはテンゾウ先輩でもいい?!』
「良いけど、やけに今回の任務はテンション高いね…」
苦笑いされたが満更でもなさそうだ。ちょっと頬が緩んでるぞテンゾウさん。
例の敵は額あてのないどこかの抜け忍で、そこそこ強くコンビネーションも良かったが地の利を使ったテンゾウさんに勝てるわけもなく、勝利。現役暗部はやっぱり凄いね。
私は3代目から許可が下りた任務しか暗部の仕事は出来ない。だから暗部の仕事をしてても暗部とは言えない。(当然暗殺系は許可が下りないけど私としても即却下させて頂きたい)
別に生半可でやってるんじゃなくて本気で私は任務をこなしているけど、数人の本当の暗部達からはふざけてやっているんだろ、な感じの目線をビシバシもらう。テンゾウさんはそういう人ではないが、ずっと"先輩"をつけてこなかったのは引け目を感じていたから。
でも、久しぶりの戦闘に碧眼を使ったことでテンションが高まって、ノリに任していってしまった。……ま、いっか。嫌そうな顔はしてないし。結果オーライだね。