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03
昨日俺らしくもなくアイツに振り回されてしまった。


今日も慣れたように1人で朝飯を食べ、4人……いや5人で住んで丁度よかったこの広い家の鍵をかけてアカデミーに向かう。


卒業間近なのにも関わらず、転入してくるには珍しい時期にやってきた"海藤 明"こと"アイツ"。転入翌日から午後登校、授業には不参加だが外の授業に限って顔を出すもの凄く不真面目な奴。それに反して、クナイや手裏剣の扱いは悔しいが俺よりうまい。的の命中率は100%。昨日はコントロールも大分良くなってきたと思い、勝負を挑んでみたが見事に負けた……。チッ。仕方なく(無理やりだが)アイツの用件に付き合えばふざけやがって。


しかし昨日の会話を思い返すとアイツの言い方はまるで自分で食事を作っているような感じだったな。まあ、俺には関係ないが。


大分変わってる問題児のことを考えているといつの間にか教室前に着いていた。


俺はまた1番に入るんだろうと思って開けて自分の席へ足を向けると、俺の席の後ろで見たことがない奴がふせて寝ていた。…いや、あれは、まさか、



「(………明日は槍でも降ってきそうだな)」



近寄ってみると、この時間帯じゃあまず来るはずもない奴の寝息が聞こえる。

見間違いかと思うが、間違いなくこの髪の色はヤツだ。

昨日のイルカの説教が相当きいたみたいだな。


*

後ろのヤツは早く来るのはいいが、周りが煩かろうと、先生が来ようと(先生はいつものように名前をとばした。ふせて寝ているから気づかれないんだろうな)、授業が始まろうとも全く起きた気配がなかった。

そして起きたのはイルカがやっとヤツの存在に気づいて、凄い形相でヤツのそばに立ったときだ。



『久々だな・・・怒鳴られたの・・・・・・・』



この時間まで寝ていてそんなことを呟いている。

そばで大声を聞かされた俺の身にもなれってんだ。




(いい授業妨害だ)

 
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