ミーンミーンと蝉が鳴いていて、道を歩く子供たちは手にプールセットを持っています。
そんな姿を見て微笑ましい、そんな風に思い自然と笑みが浮かびます。
そんな私を不思議に思ったのか、両隣の彼等は私を覗き込むように見てきました。


「10代目どうかしましたか?」

「あっ、違うんです。夏だなって思い、」

「そーだよな!暑いし夏って感じだな!」

「オレもそう思います!(野球馬鹿がオレより先に言うんじゃねー!)」

「アイス食いたいよな〜(早い者勝ちだろ獄寺?)」


なんでしょうか?
二人ともなんだか夏の暑さとは違う熱さを持っています。
うーん男の友情ってやつでしょうか?

そんなことを思っていると、ふとなんだか違うことが頭を掠め、忘れているなにかが私に教えようとしたんです。


「―――食え」

「いいん、ですか?」

「その敬語やめろ」

「でも、―――お兄さん」

「無理に大人振るんじゃねぇ。ガキはガキっぽくいろ、カスが」

「うんっ!ありがとう―――お兄ちゃん!」

「それでいい。来いっ!蒼空」


掠めた小さな夏の思い出。
名前までは出ないんですが、なんだか忘れてはいけない、そんなような気がします。
なんでなのでしょうか?なんて思う一方で、ひどくその人を求める私がいます。
知りたいのに、知ろうとしないんです。
いえ、思いだそうとすることができないんです。

今は時期じゃない、そんな心の訴えに私は身を委ねようかと思います。


「獄寺君、山本君。一緒に私の家に行きませんか?涼みましょう」

「10代目がそうおっしゃるならどこまでも!」

「じゃあ早く行こうぜ!」


今はみんなと一緒にいたい、そう思う自分がいます。
少し、いえ…大分気にはなりますが、待とうと思います。

いつかを私は待ちます。
きっとそのときには理解できる大切なものがあると思うので。




(ねぇボス〜)

(今はだめよ!ボスは思い詰めてるんだから)

(なんだってボスは思い詰めているんだい?)

(アイツは…(まだ微笑んでくれているのか?))





拍手より 20091215
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