「つ、疲れましたー…!!」


蒼空にしては珍しくため息をついて弱音を吐き、そして体を思いっきりリビングにあるソファーへとダイブさせる。
普段の蒼空なら行儀の悪い行動だと知っているために決してしないのだが、今日はいつもにも増して疲れたのか身体がいうことをきいてくれない。
その上眠気もピークを迎えはじめた。
うとうとしながら目を擦ればだんだん眠くなってきてしまい、自然に手も重くなる。
しかし、そんな刹那彼女の家庭教師の声が聞こえて魔女っ子蒼空は跳ね上がるようにして起き上がった。


「蒼空、よくやったぞ」

「ひぃ!!−−ってリボーン!!」


耳元でお化けが囁いているかのように言葉をだされればさすがに蒼空も驚く。
きっとそれが蒼空でなくとも多くの人が驚いてしまうだろう。
そういったことがわかっている上でするリボーンの意地悪さが目立つ。
しかし、蒼空から言わせれば言ってきたのはリボーンだ。
だからこそ、たいして気にすることもないと考えている。
なぜならば、いつものことだからだ。
それが顕著に現れているのが今で、蒼空もリボーンだとわかると落ち着いている。
その反応はリボーンにとってはあまり嬉しくはないのだが。


「これだけよく集めれたな」

「はい、なぜだか今日は皆さんによくお会いしたんです」

「珍しいこともあるんだな(ま、いたのはわかっていたぞ)」


今日がハロウィンということもあり、彼らが蒼空の前に現れることなど予測済み。
蒼空に堂々と理由を付けていたずらが出来るのは今日だけだ。
だからこそ、この機会を彼らが逃すはずがないとリボーンも知っていた。
故に、彼らから逆に菓子を奪い取ってやろうと思ったのも事実。
そのためにはまず彼らの度肝を抜かなくてはいけない。
そして思い付いたのがこの蒼空の魔女っ子コスプレであった。
案の定大量にお菓子をただで手に入れたので彼は大満足だ。
知らない蒼空が可哀相に思えないでもないが、リボーンならばするのも頷ける。


「そーいや、なんで蒼空は菓子貰った奴に家に来いって言ってたんだ?」

「あ…貰いっぱなしじゃ悪いじゃないですか」


いや、ハロウィンなんだから別に気にしなくていいだろ、と思うリボーンはあながち間違ってはいない。
しかしなにぶん生真面目な性格の彼女。
しかたがないといえばしかたないのかもしれないと納得する。
そう納得したのと同時に玄関からインターホンの音と蒼空を呼ぶ声、それから騒がしい音が溢れてきた。
蒼空は先程の眠気などなんのその、嬉しそうにパタパタと軽い足音を発てて玄関へと向かっていく。
そんな後ろ姿を見ながらリボーンはため息と苦笑をつきながらも、いい生徒を持ったなと考えてしまう。

余ったお菓子を自分も貰い、そして悪い虫が調子づかないように抑制するかと重い腰をあげるのだった。



Trick or Treat!!
(お菓子くれないと悪戯するぞ!!)






20130205
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -