真夏日という日が似合う今日。
蒼空たち一行はプールへと来ていた。


「おっ!涼しそうだな!」

「アホか!だいたい何しにプールに誘ったんだよ!」

「暑いから遊びに誘っただけだぜ?」


その言葉に殴りたくなったのは獄寺だけであった。
なぜならちびっ子たちは下でキャッキャッはしゃいでいる。
そして山本ものほほーんと笑っている。
ここに蒼空がいないからこそ余計に殴りたい衝動にかられる。
だいたい、蒼空の肌がさらされるのが嫌でしょうがない。

彼も男だ。

好きな女の子の肌を他の野郎に見せたくないのは当たり前の感情である。
しかし、それでも見たいという感情もある辺り思春期の男子である。


「お待たせー!」

「お待たせしました!」

「こっちだぜ笹川、蒼空!」

「10代目…!」


振り返ればそこにいた輝かしい少女たち。
いや、獄寺には蒼空が物凄く、世界一、宇宙一に輝いて見えた。
普段あまりさらされない肌が今日はさらされ放題。
思わず顔に手をやったのは仕方のないことだとしよう。
そんな様子の獄寺を不思議そうに見ながらもこちらに歩いてくる蒼空と京子。
京子は獄寺がなぜそうなったのかわかるために思わず眉間にシワがよりそうになっている。
笑顔だが、その笑顔も少しだけ怖かった。


「蒼空ーっ!!早く早くーっ!!」

「うん、早くいこっかランボ」


はにかんで笑うその姿に誰もが癒された。
約一名その様子を隠すことができないものがいるが。
そんなことに気がつかない蒼空はランボを抱っこしてプールへと向かう。
牛の水着に包まれたランボもどこか嬉しそうで、キャッキャッ言いながら蒼空にくっついている。
下で私も、私もというように必死に手を伸ばすイーピンを見ると尚更、癒されてしまう。
そんな姿に獄寺が嫉妬心を燃やしているのは言わずともわかるだろう。


「アホ牛の分際で10代目に近づきやがって…!」

「まぁーまぁー、子供だぜ獄寺」

「っせ!ガキも敵だ!」

「私的には獄寺君も山本君も敵だよ」

「「………」」


怒り心頭中の獄寺、のほほんと笑う山本に爆弾発言をしたのは京子であった。
爆弾どころか、ダイナマイトを大量投下したといっても過言ではない。
暑いはずの今日だが、京子の発言により周りの温度が5度下がったのは確かだろう。
笑顔で言ってのけた彼女を見ると獄寺も山本も顔が引き攣る。
普段、蒼空といるときのギャップから考えてもそうなってしまうだろう。


「なぁ、獄寺」

「んだよ」

「笹川って蒼空がいないと凄いよな」

「…否定はしねぇ」


どこか遠い目をしながら言った山本に、獄寺は返す言葉も否定する言葉もでなかった。
ただ、横でニコニコと(黒く)笑う京子を見るとなにも言えない。
いくら山本が天然と言われようとも、明らかに殺意の篭ったその言葉を聞けば京子の本性もわかる。
今、蒼空がいない以上やはり現実逃避をするしか方法がなかった。


「京子ちゃん!獄寺君!山本君!早く遊びましょう!」

「うんっ!今行くよ蒼空ちゃん!!」


花が咲いたかのように笑いながらかけていく京子を見れば、尚更さっきまでの発言が信じられなかった。
しかし、これ以上追求してしまったらいけないような気がする。
いや、それが正解である。
もしも蒼空に京子の本性をばらそうものなら、彼らにはもれなく蒼空に嫌われるという特典がつくだろう。
…無意識に命拾いした彼らであった。


「ま、行くか獄寺!」

「うっせぇ、言われねぇでも行くぜ」


素直にならない獄寺を連れながら山本もプールへと近づいていく。
キャッキャッとはしゃぐ蒼空と京子とチビ二人。
その光景に癒されながら歩む。
蒼空も気がついたのか、こちらに勢いよく振り向いた…のがいけなかった。


「獄寺君!山本君!」


勢いよく振り向いた蒼空を見て思わず二人は顔を紅くした。
濡れた髪が肌にくっついていて、普段見えない白いうなじがバッチリ見えた。
また、プールに反射している光りのせいなのか、瞳もキラキラ輝いている。
極めつけはいい感じに濡れている肌だ。
好きな女子がこんなにも輝いているのだ。
当然、思春期の男子ならではの思考に陥る。

その後、獄寺が鼻血を直ぐさま噴き出したのは言うまでもない。



しかたないんです。君が眩しいから!
(獄寺君!!??)
(大丈夫かー獄寺?)
((覚えててね獄寺君))
(ぐはっ!!)
(タコが真っ赤っかだもんねー!)







絆様リクエストありがとうございます!

20110620
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