甘く優しい香りが辺りを包み、それを感じる度に優しい気持ちになれます。
毎年来るその日は私が一年で1番大好きな日。
傍にいてくれてありがとうや、また一年間お願いしますや、いつまでも笑っていてくださいの気持ちをたくさんたくさん出てきてくれる1番幸せな日。
いつもより幸せな理由はやっぱり花ちゃんが1番わかっていたのは苦笑しちゃいました。
「幸せオーラ全開だよ」なんて頭を軽く突かれながらもやっぱり笑顔になってしまう今日。
今日が大好きだから仕方がないんです。


「10代目、今日はなにかいいことでもあるんですか?」

「え!ななななっんでそう、思うんですか!?」

「今日ずーっと幸せそうだったからな!…デ、デートとかじゃないよな?」

「当たり前ですよ山本君!今日は…その、母の日じゃないですか…!」

「あ、そうだな。母の日か今日!」

「あぁ?野球馬鹿なんだよ母の日って」

「獄寺は外国で暮らしてたからわかんねーよな」


懸命に獄寺君へ母の日を教えている山本君を目尻にまた顔の筋肉が緩んだのを感じました。
幸せ、本当に今日はそんな気持ちができてしまいます。
今はみんなで遊んだ後なので少々日が暮れはじめましたが、ちゃんとお母さんへのプレゼントは用意してありますし、ばっちりです!!
いつだって私を懸命に育ててくれた母にお返しが面と向かってできる今日が私は大好きなんです。


「蒼空はもう準備してるよなプレゼント?」

「はい!バッチリです!」

「今日は母の日だったから10代目は幸せだったんですね!!流石は10代目!お優しい!!」

「そんなことないですよ。ただ、お母さんに面と向かって言えるのが嬉しいだけなんです」


ちょっと偽善に過ぎないかも知れないんですが、やっぱり嬉しいものは嬉しく、私はそれでもいいかなって思うんです。
獄寺君や山本君はそんな私を見てやっぱり優しいっていいます。(偽善者って思わないのかな?)
きっと周りにいるみんなも優しいからですよね?


「あ、じゃあ私はこれで。さようなら」

「じゃーなー蒼空!」

「また明日っス10代目!!」


軽く手を振りながら小走りでいつもの帰り道を翔けていく。
夕暮れ時の陽射しは暖かくて優しい。
そう、母みたいなんです…なーんて思っちゃいます。


*********


「ただいまです!」

「ガハハ蒼空おかえりだもんねー!」

「おかえり蒼空」

「;*<≠!<*#@!」


元気よく家のドアを開けて挨拶をすればいつものように返ってくる挨拶。
こんな和やかな雰囲気に私が癒されているのも事実なんですけど。
じゃれてくるランボたちには謝罪を入れて急いで部屋へと帰る。
かばんを置いてラッピングされている綺麗な箱を持って階段を降り、リビングへと向かえばいつものように料理を作っている母がいた。
その後ろ姿は私がずっとずっと憧れ、そして見てきたものなんだってわかる。
ゆっくり「お母さん」って言えば優しく母が振り返ってくれた。


「あ、お帰りなさい蒼空ちゃん」

「ただいまです。お母さん」

「なーに蒼空ちゃん」

「いつも、ありがとうございます。これ、よかったら」

「あら?今日は母の日だったのね。ありがとう蒼空ちゃん」

「いえ、こちらこそいつもありがとうございます」


はにかむように笑えば母も笑ってくれた。
好きなんです、私はこの笑顔が。
暖かい気持ちに包まれていればくいくいとなにかに引っ張られるような感覚を私は下から感じました。
下を見ればランボ、イーピン、珍しくリボーンまでいました。
どうしたのかなって思っていればにまーっとした笑顔で私を見てきます。


「どうかしました?」

「蒼空ーっ、これランボさんから!」

「≠<*@@!」

「受け取れ蒼空」


それぞれから差し出されたものを掴むと3人は嬉しそうにどこかへと行っちゃいました。
よく見ればそれは、飴、クッキー、花束で…これは一体?


「蒼空ちゃん、それ今日ランボくんたちが必死に選んでたのよ」

「え?」

「いつもお世話になっている蒼空ちゃんになにかあげるんだって。多分、プチ母の日みたいなものよ」

「あっ…」


お母さんはそれだけを伝えるとまた料理をするのに専念してしまって。
多分、これって好かれている証拠でいいんですよね?なんて思います。
ちょっと母の気持ち、わかったような気がします。
今は、3人を抱きしめにいきましょう。
御礼を兼ねて、ね?





(いつか私も家庭を持ったら)
(こんなにも優しくなれるかな?)








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20100803
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