10000企画 | ナノ


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「あ、こんなところにいらっしゃったんですね」

よく間延びした、それでいて芯のある声が私の耳に届く。

「馬岱殿」

どうかしましたか、と言う前に、彼はとびっきりの笑顔を浮かべる。同時に突き出すのは見たこともないお酒。見ただけでわかる、上質なものだ。真昼間から、まさか……。

「飲みましょう、なまえ殿」

その、まさかだ。


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BLコンテスト・グランプリ作品
「見えない臓器の名前は」
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